五日物語 3つの王国と3人の女のレビュー・感想・評価
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このダークな世界観は癖になりそう
強烈なるイマジネーションの連続。音楽の高鳴るような叙情的な演出は最小限にとどめ、むしろリアリスティックな筆致の中で幻想的な美しさが展開していく。衣装や美術、いや何よりもその世界観の醸成が研ぎ澄まされており、デル・トロやギリアムが描くダーク・ファンタジーともひと味違う。複数のおはなしが同時進行していく様はマッテオ・ガローネ監督の過去作『ゴモラ』を彷彿とさせる巧さ。そのボルテージが静かに、しかし確実に登場人物たちの運命を狂わせ、翻弄していく様に惹き込まれずにいられない。 各話ともに欲望や願望、それに対する大いなる代償を伴うエッセンスが核となるが、端から見ると狂気の沙汰であっても、各々の決断に至る人間たちの表情は真剣そのもの。それを成立させる演技と演出が観る者の同情や共感を導き出す。そして運命を決めるのは赤。誰もがこのカラーに身を浸し、胎内から生まれ出でくるかのよう。大いなる誕生、再生の物語。
チルコ
3つの王国を舞台に願いを叶えた女性たちの奇異な運命を描いた話。 子供が欲しい王妃とその息子をみせる「母となること」、美しい声を持つ老女と彼女と共に暮らす妹を描いた「若さと美貌」、娘離れが出来ない王様と結婚したい王女を描いた「大人の世界への憧れ」という3つの話しを行ったり来たりしながらみせていく。 あらすじ紹介に1編の物語とは記されているけれど、ストーリーそのものには交わりがなくて、オムニバスを細切れにしただけの様な…。 いずれも願いは叶うけれど対価が必要な感じのストーリーで、勿論それだけでは終わらないという寓話的ファンタジーになっており、行く末は各話の主人公をみるだけでも三者三様でなかなか面白かった。 ただ、教訓めいたものは特になかったのでやっぱりただのダークファンタジーなのかな…。
恐るべし民話のパワー全開。 幻想美の中、追い詰められる3人の王妃の...
恐るべし民話のパワー全開。 幻想美の中、追い詰められる3人の王妃の物語。 来ます、じわじわと。 ラストまで体、硬直しっぱなし。 鑑賞日:2017.1.7
えろぐろ
西洋の物語って徹頭徹尾男は権力、女性は容姿が全てなのが凄い。 なかなかのエログロダークファンタジーで世界観は楽しめた。 ストーリーは昔話にありがちな理不尽な胸糞だった。 デカいノミがキモすぎる。 100
考えちゃダメだ!
初めて『桃太郎』の昔話を聞いた外国人ってこんな気分かな? そもそもおとぎ話や神話と言うのは脈絡も突拍子もない。昔から読み聞かせられてるから「ああ、そうなんだな」と思うけど冷静に考えると「二人ともそれでいいの?」と疑問だらけ。 この物語も、たぶん昔から聞かせられて育った外国人の人なら「おー!」と思うだろうけど、チャキチャキの日本人の私は「え?なんでそうなる?ん?おいおい!」の連発。 A・B・Cの話が絡むこと無くオムニバスで進んでずっとAの話しだと思ったらBになって、なんとなく解りかけたとこでCの話し。 そして、またAに戻ると「……え?」な展開。全編通して『シュール』の一言。 おとぎ話を現代風に解りやすく整理したり繕う事無くまともにやったらこうなっちゃったみたいな感じ。 しかも、元になった『ペンタメローネ』とはなんぞや?と調べたら童話の原型。 そのせいなのか、童話には大人が子供を戒める為の教訓めいた物がオチになるけど、どの話しもオチがあるような無いような……。 EDが流れて「え?アレがオチ?ED終わったら何かやる?」と思ったけど会場内の電気がついただけだった。 映画の雰囲気とかは好みだけど内容は……。 ギリシャ神話のゼウスが頭痛くて斧で頭かち割ったらアテナが頭から産まれたとか、古事記の『海彦山彦』のトンデモ内容に突っ込まずにはいられない人にはオススメしません。
もやもやする
完全に理論的な作りを前提としてるわけではなく、原作から3つの話をチョイスして作られてるので、全体的な整合性とか気にしなくてよさそうです お伽話的な教訓とか啓蒙?を読み取って楽しむようなとこもあるので1人で観に行くともやもやする 観終わってから友達とお茶しながらああでもないこうでもないと語り合うとこまでがセットと思われます
期待を裏切る糞ファンタジー
ターセムっぽい雰囲気を予告編で期待してしまったのが間違い。 ダークなファンタジーなんだけど、頑張って世界観作ってる割に細部が雑だし そもそものストーリーも継ぎ接ぎで微妙過ぎ 架空のクリーチャーも作り物感半端なく安っぽい
物語自身が持っている物語性を愉しむ
17世紀初頭、イタリア・ナポリで書かれた世界最初の民話集『五日物語(ペンタメローネ)』からの映画化。 3つの物語が、綾なすタペストリーのように語られていく。 デヴィッド・クローネンバーグ作品の常連ピーター・サシツキーによる、緑や赤が鮮やかな画面は、濃密。 アレクサンドル・デスプラの音楽も重厚。 そして、どの物語も、おとぎ話だからといって、めでたしめでたし、とは、なりそうもない。 なんらかの教訓を得ようとか、幸せになれてよかったとか、そんな着地点を求めず、どのような結末を迎えるのか、本来、物語自身が持っている物語性を愉しみながら観ていく。 そんな映画。 ただし、よくよく観れば、登場する女性たちは三世代。 若い王女は自由を願い、中年の王女は子どもを望み、老女は若さを求める。 そして、彼女たち皆が、その願いや望みを得るのと引き換えに、何らかの大きな代償が伴っている。 原本から、この3つの物語を掬い上げたのは、なんらかの意図があるようにも思えるが、そんなことは考えないほうがいい。 物語自身が持っている物語性を愉しむ。 それは「映像によって物語を語る」映画本来のの愉しみ方なのだから。
残酷の中の美しさ
本当は残酷なグリム童話?みたいな話。 シンデレラの本当の結末とかだと確か継母とか意地悪な姉たちは殺されちゃうんですよね… 白雪姫も最後には継母魔女が殺されちゃうみたいな感じだったと… 実はグリム童話って残酷なんですよ、みたいな3つの物語。 (これはグリム童話ではないけど) 子供がほしくてほしくて…でも出来ない王妃。いざ出来たら子供を溺愛 若さが欲しい・・ 素敵な人と恋愛し結婚したい夢みる王女様。でも父親である王様は・・ 3つの物語が交差する。 話としては途中ダルくなったりするけど1つ1つの切り取られたような映像は抜群に綺麗です。
3つの話なんだけど…
これって絡ませる必要があったんですかねー。 3タイプの女性達のグリム童話的なブラックファンタジーだけど話が入り乱れるからなんか途中で登場人物がどうクロスしてるのかわからなくならりました。 巨大ノミとか化け物魚とか、なかなか欧風チックなクリーチャーは面白いし女性の性の視点も面白いけど編集が難ありのような…気がしました。
なるほど、お伽話を実写映像化するとこうなるのだな。という映画です。...
なるほど、お伽話を実写映像化するとこうなるのだな。という映画です。 パンズラビリンスなどが好きな我が身としては、同じような系統のダークファンタジーかなぁと思い観に行ったのですが、なんとなく違います。 根っこから極悪非道な人はあまり出て来ませんが、ファンタジーに留まらず、普通の人間が欲望に取り憑かれるとこうも堕落していくという語り継がれてきた教訓の面が強いです。 グロテスクなシーンもあるので苦手な方は要注意ですが、思えば日本の昔話も「カチカチ山」や「因幡の素兎」などは結構えげつない描写もありますよね。それを実写化したら…と考えるとどんなもんか分かりやすいと思います。 イタリア・フランス映画なのに何で英語喋ってんだろう…と最初ちょっと突っ込みたくはなりましたが、衣装や背景の映像美は流石です。中世の身分別の着物や装飾品はなんとも豪華絢爛。これだけでも好きな方は楽しめると思います。 しかし日本のポスターではなんだか集められてますが、3つの王国の人たちはほとんど交わらないし、女の性といっても男が原因でしょ、と思うのでこの副題とコピーは無しでいいのでは………
美しくもグロテスクなおとぎ話
それぞれの国王の 傍若無人ぶりに笑える。 そんなやりたい放題の権力に 翻弄される人々の悲喜劇が これまた残酷でグロテスク。 若さへの執着に 憑かれてしまった老女姉妹が 可笑しくも哀れで胸苦しくなる。
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