「赤裸々」あゝ、荒野 前篇 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
赤裸々
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鮮烈であり、むき出しの命を突き付けられる150分だった。
社会的に底辺の人か、ある種歪んだ人しか出てこない。メインキャストの生い立ちはこれでもかと思う程不遇だ。
この作品が発表された当時と現在は社会情勢も変わり、現代に設定を移行するにあたり様々な改変がなされたであろう。
だがしかし、
その改変は見事に的を得てるとしか思いようがない…。
全ての虚飾を削ぎ落とし、ありのままを生きようとする人物達から目が離せない。
物語が進むにつれ、ボクシングを通した更生の話しなのかと見誤るのだが、そうではない
それすらも手段の一つに過ぎず「それでも生きていくしかない」って呪縛が、ずっと本編の奥底に流れる。
主人公達はお世辞にも品行方正とは言い難く、死んだところで誰も悲しまないような境遇であり状況だ。
ボクシングなぞ、やりたくてやった訳じゃない。それしかなかったから始めた。
人間1人。
目的の為に、自らを研ぎ澄まし鍛錬に明け暮れ、生きる為の糧をもぎ取る。
他を喰らう事に言い訳も大義もいらない。
自らの食い扶持を得る為と大手を振って宣言してる。そのスタイルが、この人物達への造詣を深めている。
美しいと思った。
たった一つの目的とたった一つの武器にすがりもがく様が美しいと。
コレだけは譲れない。そんな欠片くらいの質量しかないようなモノに真正直に向き合う姿に圧倒された。
おそらくならばこの作品を映像化するにあたり最難関は「演技」という名の嘘すら排除せねばならなかった事だろう。
出演者達は見事に軽々と、このハードルを突破してみせていた。
本編の後に後編の予告が流れる。
アニキの台詞に鳥肌がたった。
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