劇場公開日 2017年11月3日

「完成度が高い」ラストレシピ 麒麟の舌の記憶 マトさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0完成度が高い

2017年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

完成度が高い

滝田洋二郎監督の作品という期待は、全く裏切られなかった。
映画らしい映画。お金を払って見る価値あり。

いつもドラマや映画を見ると、どうしてこうしたんだ、と思ってしまうのだが、今回それが出てこない。人によってはあるのかもしれないが、自分の観客視点では滝田監督に文句のつけようがなかった。こんな作品が作れるのか、というのに驚いている。

キャストの演技は文句なしに素晴らしい。
どの人も演技力の高さを感じ、またキャスティングもぴったり合ったという印象。
主演の二宮君は出番が少ないと聞いていたので、主役としてどう存在感を出すのかと興味を持っていたが全く問題なかった。
彼のための映画というのがはっきりと伝わってきて、文句なしの主役だった。
現代を生きる人間の少しやさぐれた感じが見事。

何より一番素晴らしかったのは脚本と演出。
正直番宣やスポットでネタバレじゃないか?と思っていたのだが、良い意味で裏切られた。
あの適度はネタバレにならない。
というか話を知った2回目以降の方がむしろ楽しめるかもしれない。
話のテンポも良く、怒濤のように内容に引き込まれる。
開始30分あたりからじわじわと涙が出てきて、ことあるごとに涙腺が刺激される感じだ。
全てのシーンに意味があり、不必要なものなどどこにもない完成度の高い作品。
音にこだわったとあったのも納得。咀嚼音がいやらしくなく、空腹感をそそる絶妙な効果を出している。
またエンドロールの作りが見事で、最後まで見るとほんのりと心が温かくなる。
各分野の職人がこだわって作り上げた、まさに至極の映画。

ぜひ騙されたと思って見に行って欲しい。

マト