ニコラス・ウィントンと669人の子どもたちのレビュー・感想・評価
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子ども達、そして親にとっても
命が助かった事は素晴らしいけれど、辛い出来事でもあったと思う。幼い子どもを親から引き離し、言葉や習慣の違う他国にやらなければならない。そして、希望した人すべてに手が差し伸べられた訳でもない。
映画に出てきた人の影にたくさんの辛い事を、嫌でも想像してしまった。
過去の映像のほとんどは、フィクションとして作ったものかとおもいますが、とても良くできていた。一人でもするという人間の尊さを思いました。
行動を起こすこと
ニコラス•ウィントン氏は、たった1人で、公的機関でもないにもかかわらず、他国に支援の手紙を送ったり、困っている難民の姿を見て自分にできることはないかを探し、行動した。その姿は、人として敬われるべき姿勢だと思った。
また、映画の中で印象的だったのは、子どもたちがイギリスに向かう途中の列車のエピソードだ。かつての子どもたちは、発車後しばらくはドイツ軍に怯えていたが、オランダに入ると、民族衣装の女性が温かいココアと白パンを配ってくれたという話を、明るい口調で話した。そのときの子どもたちの心情を思うと、人の優しさがどれほど周りを幸せな気持ちにするかを実感できる。
しかし、ニコラス•ウィントン氏の助けにより出国した子どもたちが生命を救われたのは本当に良かったけれど、子どもと離れることを余儀なくされた親の気持ちを思うと、想像するだけでも辛く、胸が痛んだ。
当時、あのような悲劇が起こらないようにするために、ニコラス•ウィントン氏のように、何かできることはなかったのだろうか。平和を享受していると、真剣に考えることをやめてしまいがちだけれど、親子が普通に暮らせるためにも、当時なぜあのようなことが起こったのか、できることはなかったかを、考え続けなければいけないと思う。
これが、ほぼ個人事業だとは驚き
2011年と、ちょっと前の作品。第二次大戦時、ニコラス・ウィントンがチェコ・スロバキアのユダヤ人の子どもたちをイギリスに移送した「キンダートランスポート」を描いたドキュメンタリー。チェコとスロバキアの合作ですが、作品中の言語は英語です。
私がよく読む小説の登場人物が、「キンダートランスポート」によって救われたと言う設定があったので、「キンダートランスポート」自体に興味を持っていました。公的機関、あるいは、私的期間ながらもっと大きな組織で運営されていたと思っていたんですが、実態は全然違うんですね。ほとんど、ニコラス・ウィントンの個人事業。それだから故に、素早く出来たという事もあるのかもしれません。
「キンダートランスポート」は、日本語で言えば“子供輸送”と言う感じですが、この事業によって救われた子どもは、“子ども”と言うにはちょっと大きい年齢層も含まれて居たんですね。どの位の年齢層まで含まれたいたんでしょうか?
それと興味深かったのが、救われた子どもたちの言語。イギリスに残ったり、アメリカ、カナダに渡った元子どもたちは英語が堪能でしたが、イスラエルに渡ったりした元子どもたちは、やはりと言うか、英語は英米加に渡った元子どもたちほど得意では無い様でした。なるほどねぇ。
作品の最後は、ニコラスの行ったことが、現代社会において『善意の輪』と言う感じで広がっていることを示して終了。そこだけ無理矢理感を覚えて、ちょっと違和感。ニコラスのやったことは、もちろん善意ではありますが、“生命の危機”と言う根本的な課題に直面していたと言う事も考慮すべきかと。それとは別に、ただ困っている人を助けるという善意は、なんか違うかなぁ。それと、原題が『Nicky's Family』と意外に軽い感じなのに、少し驚きました。
まぁ、何れにしても、人間の素晴らしさを見た感じがします。
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