「期待外れと大コケに笑えぬ」曇天に笑う 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
期待外れと大コケに笑えぬ
またまた全く知らぬ人気コミックの実写映画化。
アニメ化、舞台化もされているらしい。
明治維新後の滋賀県大津。
300年に一度、世に災いをもたらすオロチが復活しようとしていた。
オロチ復活を阻止しようとする岩倉具視直属の政府部隊、オロチを復活させて政府転覆を目論む忍者集団、そしてオロチを“護る”3兄弟、三つ巴の戦い。
OPのアップテンポの音楽と祭りの雰囲気は良し。
戦いに笑いに熱いドラマとエンタメ要素たっぷりな筈なのに、う~ん、残念な作品…。
題材も設定も悪くない。が、コミック実写の邦画あるあるの典型。演出や脚本が不味いのだろう、一作品として話に面白味が全く無い。
“オロチの器”とか狐のお面を被った敵ボスの正体とか、すぐ読めてしまう。
100分弱の尺ではダイジェスト的でキャラ描写も紹介すら出来ず。
イケメンたちも揃いも揃って皆、大根。
となると唯一の見せ場となるのが、そのイケメンたちによる身体を張ったアクションのみ。
確かに華麗な大立回りを見せてくれるが、お顔も衣装も決して汚れず。
昨今の時代劇はいずれも泥臭さは無く、先日観た『散り椿』もそれがあったと言い難かったが、それでも殺陣に気迫さはあった。が、本作は…。小綺麗なチャンバラ・アクションに過ぎない。
話の面白味も派手なアクションも今一つ。
笑いもダダスベリ。
女性ならばイケメンたちによる兄弟愛や友情にキャーキャー盛り上がれるのだろうが、それさえも…。
それでもまだ本作に期待していた点が一つあった。
ズバリ、オロチ。
オロチとは言うまでもなく、ヤマタノオロチ。
『日本誕生』『ヤマトタケル』など特撮好きとしては、どんなオロチが登場するか期待していたのに、それなのに…。
原作通りなのかもしれない。
でも、期待を裏切られた。
ビミョーな凡作に一応最後まで付き合ったのに、せめてオロチを見たかった。
どんな時でも“笑え”と、曇長男は教える。
でも、この期待外れ、肩透かし、消化不良…。
何より大コケに、笑ってはいられないだろう。