「白い鳩はやっぱり飛んだ!」マンハント kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
白い鳩はやっぱり飛んだ!
予備知識無しで観ていたら、どこかで見た覚えのあるストーリー展開だと感じた。あとで調べてみると、やはり西村寿行原作、佐藤純弥監督、高倉健主演の『君よ憤怒の河を渉れ』のリメイクだったのだと気づきました。この『君よ憤怒・・』という作品は中国で大人気であり、NHKで特集番組が組まれるほど、反日感情を持つ人でさえもこの作品、そして高倉健が大好きらしい。内容はというと、ほぼ『逃亡者』。しかし、中国人のあいだでウケたのは、巨悪な政府や巨大企業である製薬会社に対して、汚名を着せられながらも果敢に戦いを挑んでいく高倉健の姿であったのだ。ただ、熊の着ぐるみだけは同監督の『北京原人』と同じく許せない箇所でもありましたが・・・
そんな中国人に永遠に支持されている作品を中国人であるジョン・ウー監督がリメイクするのも自然なことであるし、全編大阪中心の日本ロケであるにもかかわらず主演を中国人チャン・ハンユーに選んだことにも納得できる。福山雅治が演ずる男は『君よ憤怒・・』では誰が演じていたかというと、田中邦衛だ!かなりイメージが違いますが(笑)。原田芳雄でした。
もう一つ興味深い日中関係に、731部隊というものがある。今作で登場する天神製薬という企業では極秘裏にホームレスを集めて人体実験をするという点。1930年代から満州へ進出した日本軍が第二次世界大戦期に731部隊を発足させ、朝鮮人、中国人などの捕虜を使って細菌実験を行ったという暗黒の部隊。人体実験という怒りを主人公たちが暴いてくれる痛快さが感じられることも要因の1つだと思われます。
冒頭では、居酒屋の女将(ハ・ジウォン)とぽっちゃりのドーン(アンジェルス・ウー:ジョン・ウー監督の娘)がヤクザの団体を殺しまくるという驚愕のシーンが炸裂するが、どことなく『キル・ビル』を感じてアドレナリンが急上昇してしまいました。中国語と英語だけはそのままの音声を使っているようではあるものの、日本語はほとんんどアフレコだとわかり、口の動きと合っていないことに違和感だらけ。特に福山雅治(笑)。
アクション面でははジョン・ウー監督の特撮・激しいカット割りと、演ずる俳優たちがさすがに良かった。謎の殺し屋による銃の撃ちまくり、編集で場面が飛びまくるところには目が回りそうになるほどでした。そんな中、ホームレスの中心人物の坂口を演ずる、レジェンドと言ってもいいほどの日本人カンフースター倉田保昭の起用がうれしいところ!このまま人体実験されるのかと思いきや、拳で壁を壊すなど暴れまくるところは迫力がありましたね。満足・・・