「原作に寄り添うストーリー、役者の熱演は凄い!」東京喰種 トーキョーグール 勿忘草さんの映画レビュー(感想・評価)
原作に寄り添うストーリー、役者の熱演は凄い!
原作は最新刊まで読破済みです。
(原作に寄り添うストーリー)
原作の『東京喰種』全14巻、続編にあたる『東京喰種re:』は既刊12巻のうち、映画は『東京喰種』の3巻までの内容です。実際の物語としてはまだ序盤で盛り上がるのはこれからなのですが、無理な大幅改変をせず、改変した部分も原作の世界観を損なわないように丁寧に作られていて好感が持てました。その分血が流れるシーンや喰種が人を食べるシーンも誤魔化さず描かれています。確かに苦手な人はダメかもしれませんが、物語の本質とは違う部分なので私は気になりませんでした。
(キャストの熱演が凄い)
まずは、蒼井優の淑女からの変わりようが凄いです。あんな蒼井優は観たことがありません。
清水富美加も、人間を食べる事に罪悪感を持ちながらそれでも生きていく喰種の悲しさや切なさを見事に体現しています。Sっぷりもなかなか良いです。
鈴木伸之もカッコイイです。自身の正義に一直線な亜門がハマっています。
他のキャストも良かったですが、やはり一番は窪田正孝の金木。童貞感溢れる序盤のデートシーンのキョドりっぷりから、人しか食べられない半喰種になってしまった苦悩と葛藤、そして最後の戦いでは言葉を失う程の姿を見せてくれます。彼のアクションもなかなか凄いです。
マトリックスシリーズを手がけたドン・ディヴィスの音楽も、こだわられた効果音も作品に花を添えています。
難点を上げるとしたら、物語は原作の序盤部分で終わってしまっているのでやや物足りない感じがします。ざっくり言えば人間と喰種の「生存」と「正義」をかけた戦いなのですが、そこの問題自体は解決しません。(原作でも答えはでていません。)だからこそ、もっと続編が観てみたいと思います。
好みが分かれる作品だとは思いますが、暗そうだから、グロそうだからという理由で観ないのは勿体ないと思います。マンガの実写化としては間違いなく成功だと思います。原作好き、ダークファンタジー好き、ヒューマンドラマ好き、出演俳優に好きな人がいるなら、オススメです。