劇場公開日 2017年8月26日

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「人間色々あるよね!」幼な子われらに生まれ aya2017ayaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5人間色々あるよね!

2017年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ステップファミリーが題材のこの映画
(原作は21年前に書かれているので
 まだステップファミリーという呼び方はしていませんが)
微妙な年頃の娘と上手くいかずに
父親になりきることも出来ない
会社では付き合いが悪くて左遷されるはっきりしない男を
浅野忠信さんが好演しています

小さい頃は良いんでしょうが
実の親子でも小学校高学年になれば難しい年頃です
ましてや血の繋がらない父との間に母に
赤ちゃんが出来たと知らされたら複雑な思いにもなるでしょう
揺れ動く複雑な女の子の気持ちが良く描かれていました
本当のお父さんに会わせてと言われ会いに行ったら
これがまたDV野郎でギャンブル漬けのろくでもない男

でもこのろくでもない男が本音で生きていて
飄々と「結婚なんてめんどくさい」と言い切っちゃいます
「家で帰ってくるのを待ってるんですよ
毎日毎日待ってるわけですよ」と聞かされるうちに
信自身が自分の心の写し鏡のように
会うごとに信に変化をもたらせることになります

そこへ元妻が再婚相手が末期ガンに侵かれてると訪れる
刷毛口のない元妻が元夫に愚痴るわけですが
元夫はそれを察することも出来ず
「あなたは、気持ちを聞いてくれない」と言われたり
沢田や元妻から本音を聞くことで
信は少しずつ変わってゆきます

ということで男ってっ・・・てことで描かれていますが
頑張ってるお父さんの姿を描いてるように見えて
女性の本音に迫ってるのではないかと思ったりしました
ラストの方で旦那に頼るか弱い専業主婦と思われてた
奥さんの本当の姿で皆色々あるんだよ!とさりげなく訴えてます

最後はハッピーエンドにならないけど
家族の歪でも不器用でも、寄り添う努力をしてゆく
人間の姿にエールを送りたくなりました

監督が主役にはふわふわしてる人と思って
浅野さんを抜擢したとおっしゃってますが
まさに嵌り役だったのかもしれませんね
田中麗奈さんは気の強いハッキリ物事を良いそうなイメージなので
真逆の役をやらせたいという思いから抜擢されたそうで
これまた今までのイメージとは違って良かったと思います

日常生活を切り取ったように撮りたかったそうで
それは見事に映画に現れていました
ステップファミリーを描いていますが
それぞれの想いみたいなもの家族の在り方を
考えることが出来る映画でした

試写会にて

楓2018