劇場公開日 2017年1月28日

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「本当にやりたいことを問う青春ドラマ」キセキ あの日のソビト みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本当にやりたいことを問う青春ドラマ

2023年2月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

興奮

幸せ

本作は、今、最も勢いのある若手俳優、松阪桃李、菅田将暉を起用した予想以上にシリアスな作品である。生き方の異なる兄弟の自分探し、父親との確執と自立を描いた青春物語である。厳しい現実に直面して、本当にやりたいことと折り合いをつけながら生きている我々大人たちにとって、本当にやりたいことって何?という本作のシンプルな問い掛けは、はっとするものであり、あの頃の自分を思い出した。

厳格な父親(小林薫)に育てられた兄弟、ジンとヒデ。兄・ジン(松阪桃李)は父親に反発し、家を飛び出してバンドを組んで好きな音楽の道を突き進んでいく。しかし、ジンは、父親を見返すために、メジャーデビューに血眼になり、自分たちの音楽を貫こうとするメンバー達との亀裂が深まり自分を見失っていく。やがて、ジンは弟たちの音楽活動をサポートしていく中で、サポートという自分の役割に気付く。一方、弟・ヒデ(菅田将暉)は、大学合格までは父親に従順に生きていくが、大学での音楽との出会いが彼を覚醒させる。メンバーを組んでCDデビューした曲はヒットする。ヒデは迷う。本当にやりたいのは、医師、音楽のどちらなのか。恋人の助言もあり、苦悩しながら、弟は、答えに辿り着いていく・・・。

松阪桃李は、鬼気迫る凄みのある演技で自分探しに彷徨し苦悩するジンを熱演。ベールに包まれていた歌声も聴き応えがあった。菅田将暉は、穏やかではあるが眼の表情を巧みに変化させる流石の演技で、ヒデの、従順、迷い、決断を表現している。特に、ラスト近くで、父親に音楽を目指すと告げる時の迷いのない澄み切った眼が素晴らしい。生き方の違う兄弟の絡み合いも迫力十分。

父親への反発と従順という対照的な兄弟だが、彼らにとって父親の存在は絶対であり、当初、彼らは父親に依存していた。自立していなかった。そんな兄弟は、ラストで揃って家を出ていく。それを良い音楽を作れと励ます父親。これは兄弟が父親依存から解き放たれ自立した瞬間である。兄弟は父親を超えて、その元から巣立っていく。本当にやりたいことを見つけ、それに挑んでいくために。彼らの自己実現の旅の始まりである。

ラストで、本当にやりたいことを見つけた兄弟の姿が眩しく印象的な作品だった。

みかずき
kossyさんのコメント
2023年2月7日

みかずきさん、コメントありがとうございます。
この作品はGREEN秘話ということで楽しませていただきました。
親への従順と反発。もう親が亡くなってしまってる年齢になったので、今後は自分のやりたいことをやるつもりです・・・ただ、生活しなければならないので仕事もボチボチと・・・

kossy
CBさんのコメント
2023年2月7日

俺にも印象的な映画でした!

CB