「事実は小説よりもうさん臭い」将軍様、あなたのために映画を撮ります バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
事実は小説よりもうさん臭い
このドキュメンタリーがどこまで真実に迫っているかは、一方だけ聞いて沙汰をするようなところがあって正直わからない。が、拉致された映画監督が「こんな話、誰も信じてくれない」と例の将軍様との会話を片っ端から録音していて、肉声で拉致指令を出したと認めてしまっているのだからとんでもない映画であることは間違いない。
とはいえ実話がもたらす衝撃より強烈に印象に残っているのは、当事者である監督・女優夫婦の別世界のことでも喋っているような声色であり、「なにかが狂っている」と不安にさせる佇まいだったりする。
波乱に満ちた夫婦の物語を、監督が撮った映画のシーンを繋げて再現ドラマに仕立てているのも本作の「虚構」の匂いを強めている。ちゃんと考えたらゾッとする話なのだが、次々と語られるエピソードのとんでもなさとうさん臭さは「FAKE」に勝るとも劣らず、リアルを飛び越えた幻想譚のように楽しんだ。
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