将軍様、あなたのために映画を撮りますのレビュー・感想・評価
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事実は小説よりもうさん臭い
このドキュメンタリーがどこまで真実に迫っているかは、一方だけ聞いて沙汰をするようなところがあって正直わからない。が、拉致された映画監督が「こんな話、誰も信じてくれない」と例の将軍様との会話を片っ端から録音していて、肉声で拉致指令を出したと認めてしまっているのだからとんでもない映画であることは間違いない。
とはいえ実話がもたらす衝撃より強烈に印象に残っているのは、当事者である監督・女優夫婦の別世界のことでも喋っているような声色であり、「なにかが狂っている」と不安にさせる佇まいだったりする。
波乱に満ちた夫婦の物語を、監督が撮った映画のシーンを繋げて再現ドラマに仕立てているのも本作の「虚構」の匂いを強めている。ちゃんと考えたらゾッとする話なのだが、次々と語られるエピソードのとんでもなさとうさん臭さは「FAKE」に勝るとも劣らず、リアルを飛び越えた幻想譚のように楽しんだ。
映画監督と女優の拉致事件
1970年代末に起きた、北朝鮮による韓国の映画監督と女優の拉致事件の真相に迫る。
映画ファンだった金日成が引き起こした事件で、隠し録音された肉声を聞くことができる。
こんな事件を引き起こす遺伝子は残っていないように祈るだけ。
恋人たちと独裁者
なんだか、久しぶりにつまらないドキュメンタリーを見た感じ。キム・ジョンイルの存命中に作るのが憚れたのか、製作年も2016年。結局のところ北朝鮮を思いっきり批判するでもなく、韓国では製作予算が少なかったから金を湯水のように出してくれる北朝鮮で自分の好きなように映画を撮ることができたという話。
チェ・ウニにしてみれば、いいことはなかったのかもしれないけど、監督は満足してたんじゃないかな?映画好きの将軍様で良かったね・・・といったところ。せめて粛清とかの北の酷い実態をもっと語ってくれればアメリカに亡命したことも理解できたのに、序盤に『大脱走』を真似て脱走したとか、ちょっと胡散臭い話まで語っていたため真実味まで失われてしまったかのよう。
それでもシン・サンオク監督の撮った映画をイメージ映像と絡めて編集して、物語に沿うように織り込まれていたけど、やっぱり観たくなる北朝鮮作品。それよりも、この悲運の監督の壮大なストーリーをドキュメンタリーじゃなくドラマとして作ったほうがいいんじゃないの?
やれやれ…何という話なんだろう。でも映画をはじめとするアートって魅...
やれやれ…何という話なんだろう。でも映画をはじめとするアートって魅力、魔力、取り憑かれてしまうところがあるんだろうか…もちろん、お腹が満たされていることは前提なんだろうと思うけど。
プルガサリの監督か
日本も撮影協力したプルガサリの監督が、香港でキタに拉致されてからアメリカに亡命するまでの話。
監督の証言、いやに流暢な日本語だなと思ったら、日本に留学して映画を学んでいたのか。
中身としては特に映画にする必要もないドキュメンタリー再現。雨傘番組程度と言っていい。
ジョージ ・オーウェル「1984 」のような苛烈な世界観があるかな...
ジョージ ・オーウェル「1984 」のような苛烈な世界観があるかなと想像して観たら、その要素は やや薄めで、
映画狂いとなる錯綜した2代目のキャラクターが濃く描写されたドキュメンタリーだった
初代との対比で、カリスマに欠ける2代目が 映画へ傾倒していく背景が分かる
拉致って収容所ぶち込んで プロパガンダのために映画撮らす、とか ありえん!!ことをやる2代目
初代から跡目を継いだ直後から2代目は粛清の嵐を巻き起こしてたことを本作で知った
となると、3代目は親父をトレースしてるだけ?!って思わず想像してしまった
ラストに触れられた、北朝鮮版タイタニック!!!
これはどんなプロパガンダ効果があったのだろう?と謎が続く
独裁者と映画
監督と女優が拉致されて将軍様と映画作る話
拉致してでも映画が作りたい人と拉致されても映画を撮りたい人、二人を見届ける女優。
なんとも数奇な運命で結ばれた人たちだろう、北朝鮮と言う異質な国家の姿を当時の映像、音声などを盛り込んで被害者本人の証言とともに送るドキュメンタリー。
監督と将軍様の利害が一致した時、二人は同じ夢を見たのだろうか・・・
被害者が語る、生々しい拉致の方法や収容所の事、洗脳、将軍の人柄、なんとも貴重で勉強になった気がする。
最後の映像で国民がマスゲームをしたり、霊柩車を泣きながら見送る姿を見て、心底ゾッとした。自分たちが生きる世界と彼らの世界に明らかな溝があることを実感した。
粛清の恐怖の上で彼らは安心と得る事は出来るのだろうか。
拉致してまで己がわがままを押し通す事に腹が立つし、洗脳された国民の上に立っていい気になってる事が本当にムカつく。
共産主義が全部悪いとは言わないが、独裁者が生まれるシステムをなんとかしてもらいたものです。
劇中セリフ
特になし
実話とは信じられなかった
はじめにこの映画のストーリーを聞いた時、とんでもすぎてとても実話とは思えなかった。
金ジョンイルが自分のために映画監督をさらって映画とらせるなんて…。
カセットテープで再生される監督の語り口が独特で味があって、奇妙な世界に入り込んでしまったかのような不安感がある。
実際に拉致された監督からしたら、リアル「世にも奇妙な物語」だろう。ほんとうは自分は狂ってるんじゃないか?なんて僕だったら考えてしまうと思う。
映画としての面白さはいまいちだけど、こんなとんでもないことが実話なの?という驚きがすごい。
金ジョンイルが絶大な権力をもっていて、周りがイエスマンであることに対する悲しさ、ほんとは芸術家になりたかったとか、人望がなくて人前にほとんど出ないとか、監督が唯一心を許せる友達だったのに、結局は裏切られたとか…。
まるで子供向けの童話のような話だ。
童話的な陳腐さと、実話であるというグロテスクといっていいリアリティ…。これが融合しているというは、奇妙にツギハギになっていて、やっぱり奇妙な映画だ。
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