劇場公開日 2017年7月1日

「笑って油断してるとシリアスだったという緩急」忍びの国 nao.さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0笑って油断してるとシリアスだったという緩急

2017年9月7日
PCから投稿

泣ける

興奮

金に汚い虎狼の族忍び対最強織田軍の武士の人間味を双方の役者が上手く演じていた。
オープニングタイトルで挿入される音楽から初回の「川」で心掴まれるも途中少々油断していたら後半辺りから二度目の「川」でまた惹き付けられた。二度目の「川」は息をするのを忘れる凄味。
伊勢谷友介演じる武将日置大膳の愚直なまでに信義を尽くす姿勢は忍びの悪党っぷりを際立たせていた。その主君(國村隼)はさすが少ない出番でも渋すぎかっこよすぎだ。
十二家評定衆の下衆さ中でも下山甲斐(でんでん)は滑稽でなんか哀れだなとさえ思った。
大野智演じる無門は前半妻のお国(石原さとみ)とゆる~く掛け合いをしてたかと思えば色のない目をして殺陣で魅せる。終盤の平楽寺で忍びを制止しようとする叫びとその後の哀を含んだ絶叫は心打たれる。この人は声の芝居がいつも見事だ。嘘のない芝居とよく表現されているが無駄がない芝居と思っている。かといって遊びがないとかじゃないんだけど…台詞はやや少ない?がその表情で無門の変化を語っている。正直見せ場で残念な処理もあったりはするし、もう少し原作よりの闇と言うか暗い色を感じたい気もあったけど概ね良き。ただこの作品の本当の良さは二度目、いえ三度目でわかると思う。取り敢えず映画館まで行って観てみて下さい。…舐めてると怪我するかもよ?

nao.