「静か」みかんの丘 tokyotonbiさんの映画レビュー(感想・評価)
静か
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山中に暮らす木箱作りの老人とみかん畑を持つ老人二人の元に、戦争の知らせがやってくる。
二人の老人が暮らす地は戦争に巻き込まれるが、外で生き残った若者二人を家に運んで手当をする。その二人は敵同士で、お互いがお互いの仲間を殺していた。
目覚めた兵士は当然お互い殺意を持って、家を出れば殺すという一触即発のやり取りをする。
しかし、傷を癒やす日々を送る内、互いが人間に見えてくる。食事をし、自分のことを話し、相手にも自分と同じような生活があり、別の信条を持つが、血の通った人間だということが見えてくる。
描写はけして過剰にドラマチックではなく、静かでただ日常が描かれている。
これで一口に戦争については語れないし、「同じだよ」と語った老人のような考えに至るには時間が必要で、簡単にこうなれ、これが理想だとは言えない。
けれど、一個人の自分の家である故郷、土地への面倒な愛着と、戦争に引きずり出され、お互い面識もないのに強制的に殺し合いが始められてしまう戦争への虚しさは十分に感じることが出来た。
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