「原作未読者ですが、映画本編内での矛盾が気になる」鋼の錬金術師 イノダさんの映画レビュー(感想・評価)
原作未読者ですが、映画本編内での矛盾が気になる
原作未読ですが、友人に付き合いで観ました。
なので原作については、鑑賞後の友人からの情報と、サイトなどの情報で補完した程度の知識です。
原作が無いオリジナル映画と同じような感覚で観ましたが、いくつか矛盾していないか?これはなんだ?というような点が有りました。
その点についてもレビューします。
勘違いしている点があるかもしれませんので、訂正がある場合はコメントをお願いします。
■世界観や人物設定の説明について
まずこの部分の説明が下手なので、世界観やキャラの人間関係を理解するのに時間がかかりました。
おそらくこの点については、構成の順序を並べ替えれば問題なかったのではないかと思います。ですが原作有りの映画ということで、肝心な導入部分を「原作を知っているはずだ」「だからここは省略して映画的な画面を優先しよう」と視聴者に甘えて脚本を疎かにしてしまっているので、映画として問題があります。
ジャニーズの人気アイドルを主役に添えたりするということは、そのジャニーズのファンも見ますよね。その子達はジャニーズのファンであって原作のファンではありません。そういう人達を置き去りにすることを最初から決めているわけなので、映画としての評価が下がるのは当然です。
少年誌の長編ファンタジー漫画を強引に1本に収めようとするなら、いっそのことリオールで無駄に長い追いかけっこをしている間に「俺の名前はエドワード・エルリック。こっちは弟のアルフォンス。俺達は子供の頃〜」と説明させてしまった方が良かったかもしれません。
■設定の矛盾:手足を失ったのはなぜ?
これがよく分かりませんでした。
序盤で子供二人が母親を作ろうとして、弟がオズの魔法使いのワンシーンのように板に乗ってどこかへ飛んでいきます。
そのすぐ後リオールで「12歳で国家錬金術師に」と言われていたので、母親を錬成した時点でもう既に錬金術師だったのだと思っていました。
しかし中盤にエドワードが魘されるシーンがあり、彼が手足を失った日と全く同じ夢を繰り返しみていることが分かります。
そしてその手足を失ったシーンのエドワードは既に大人です。
「あの日のようになる夢」ではなく、敢えてセリフで正確にあの日が夢の中で繰り返されることが強調されているため、彼は大人になってから今度は幼い頃失った弟を人体錬成しようとしたが失敗して脚を失ったように見えます。
腕で弟の魂を錬成したのかもしれませんが、本編ではその辺りがよくわかりません。
※これは友人に聞いたところ全然違うそうです。おそらく子役の下肢断裂シーンが映倫的に問題で強引に変えたことで矛盾が生じたのではないかとのこと。
■矛盾:等価交換?
水からは水の性質のものしかできないと言っていましたが、人の手足からなぜ魂が…?この辺りもよくわかりませんでした。
■謎:軍人のエドワードの階級や所属
よくわかりませんでした。
軍の犬という表現が出てきましたが、彼だけ私服でしたし、仕事は何を…?その説明はありませんでした。
■謎:賢者の石はどこへ?石にされた人は元に戻るのか?
ホムンクルスから取り出した本物の賢者の石はどこへ行ったんでしょうか?
エドワードが賢者の石を使おうとしましたが「誰かを犠牲にしてまで元の体に戻りたくない」と二人はやめます。他の方法を探すと言っていますが、賢者の石には賢者の石にされた人を元に戻す事に使ったんでしょうか?そんな描写も無く終わったので謎です。
■謎:緑色のトカゲ
死体からトカゲが出てきて終わりました。
何なのか?
原作の有無や制作予算に関わらず、映画には名作も駄作もあります。
これは土台のシナリオがガタガタなまま進行したことによって、欠陥住宅のような映画になってしまったケースだと思います。
好き嫌いや、役者の能力以前の話です。
映画としては★0.5ですが、途中の兄弟喧嘩のシーン等など演技が惹き込まれるシーンがいくつかありましたので、★1つ上げました。
原作ではすべて説明されているところなので、私は特に疑問を感じずに観てましたが、確かに原作未読者にはわけが分からないでしょうね…
ただ、「賢者の石はどこへ?」の疑問は、原作から改変されている部分なので、あの賢者の石はどーすんだ?と私も思いました(笑)