「娯楽映画としてはいい感じ」奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール よさこいっこさんの映画レビュー(感想・評価)
娯楽映画としてはいい感じ
「家族はつらいよ」に並ぶこういう系列の作品の妻夫木くんは、安心できますね。
様々な役どころに挑戦し続ける彼ですが、「悪人」、「怒り」、「ミュージアム」、「愚行録」などの役どころは強烈過ぎて、まさに挑戦してる感満載。
それでも、やっぱり役作りは確かなんですよね。
どの作品を観ても、この人は上手いと感心させられるし、仕事に対する誠実さを感じます。
奥田民生のようにさらっとカッコ付けずに生きていきたいと憧れる割には、恋に狂ってしまった弱くてダサい青年を笑ってしまうような軽さで演じていますね。
「ノルウェイの森」で衝撃的だった水原希子ちゃん、あれから随分経って大人になりましたね。
この嫌ほど出てくるキスシーンは体当たり演技ですよね。
普段からもしかしてこんな風に生きてるんじゃなかろうか…
と思えるくらいピッタリはまった役どころでした。
相手の出方に合わせて、七変化しながら世の中を渡っていく逞しさ。
エ~ッと思ってしまいますが、そこには彼女なりの哲学があるようです。
これはこれでスッバラシイ~。
恋にボロボロになっても仕事だけはキチッとこなしていく編集者の妻夫木くん。
ここにリアリティがありました。そうそう社会で生きていくってそういうもんだよね。
傷ついた心を、仕事が助けてくれたりもする。
同僚の恋敵役の新井浩文さん、上司役の松尾スズキさん。
かなり素敵でした。
脇役のリリーフランキーのハッチャ気振りも面白すぎたし、天海祐希も面白かった。
そして、何より安藤サクラちゃん、最高!
この人は何を演じてもホ~ッと思わせてくれますね。
妻夫木くんと二人、夜の公園で猫を追い回すシーンはアッパレでした。
ラストの男三人の対決シーンにはちょっと引いてしまいました。
斬ったり刺したりは、ちょっとこの映画の展開にはふさわしくなかったような…
こんな風に恋に破れて、一生独身で過ごす…なんてことになれば、
恋なんてするもんじゃあないよ、というオチで終わってしまいますが、そうではなかったことに救われました。
酷評する人も多いようですが、私は2時間、結構楽しめました。
娯楽映画としてはいい線行ってると思います。
妻夫木くんの作品の中では好きな部類に入りそうです。