「自分の幼さを自覚したことのある人が楽しめる」奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール あぴゃ丸さんの映画レビュー(感想・評価)
自分の幼さを自覚したことのある人が楽しめる
ただ事実を追いかけて観るだけでは、なんとなく鼻で笑って終わりの映画です。
でも、妻夫木くんの情けなさを抱えきれずにもがく幼さと、自分の湿った青春を重ね合わせたら、きっとまた違った見え方になるはずです。手放したくないから媚びてしまう。離れて欲しくないからぶつからない。この弱くてダサくて女々しい、なぜか性欲だけは高まるカッコ悪いコーロキの姿に自分の姿を見た気がしました。うわーこういうことしてしまうよな、って男の人なら分かってもらえると思うんですが笑
この水原希子の筋の通った恐ろしい奔放さに観客である男はおののき、まただからこそスクリーンの男たちは独占欲とそれに付随した性欲がメラメラ燃え上がります。
人と人との関わりは、所有するものじゃありませんし誰も心は縛れません。それを割り切り、最後にはコーロキなりの答えを見つけます。しかし、正解が必ず美しいという訳じゃありません。どうしようもない不正解の自分に、人の哀れな美しさがあったりもします。じゃあどうしたら人は幸せになれるねんっていう涙の後、エンドロールで流れる映像がとても素晴らしかったです。
女の人がみたらどう思うのかは分かりませんが、どうしようもない自分を知ってる男の人なら結構引き込まれる映画だと思います。あとは脇役の強い個性が楽しくて良いです。だからこそ、コーロキの奥田民生にしかすがれない、個性の弱さと存在の脆さが引き立っていて鮮やかでした。
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