「新海誠の悪いところを完コピし、良いところをスルー。 ポエミーすぎる作風にゲッソリ…🙀」彼女と彼女の猫 Everything Flows たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
新海誠の悪いところを完コピし、良いところをスルー。 ポエミーすぎる作風にゲッソリ…🙀
新海誠の初期短編作品『彼女と彼女の猫 Their standing points』のプリクエル。
都会で生活する就活生と、彼女の飼っている黒猫との交流が描かれた短編アニメ。
原作は新海誠。
また前作から引き続き、白猫の声を演じている。
主人公である「彼女」の声を演じるのは『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズや『言の葉の庭』の花澤香菜。
テレビアニメ版(全4話)に新規カットを加え、一本の映像作品として再編集したものが本作。
そのため、新海誠の劇場用アニメのようなクオリティを求めていると肩透かしを喰らう。
作画のクオリティは決して低いものではないが、まぁ深夜にやっている有象無象のアニメ作品と同レベルである。
新海作品を特徴づけるフォトリアルな映像美は見受けられないが、新海誠的ポエミーな作風は完コピしている。
正直かなり気持ち悪い…🌀
監督はネコがいちいちあんなことを考えていると本気で思っているのか?
新海誠の初期作にみられるポエティックな作風は、正直今見ると結構キツいものがある。
とはいえ、そのポエミーな感じは凄く正直に、自分をさらけ出しながら作品を作っているというのが伝わってくるので、それほど嫌いじゃなかったりする。
樋口真嗣監督が考案したとされる「パンツ理論」。
これは「監督というのは、パンツを上げたり下げたりするもの」という考え方ですが、新海誠はどの作品でもパンツ下ろしてちんちん剥き出し。たまにパンツが下りていることにすら気付いていないんじゃないかと思う時もある。
とにかく正直な監督さんだと思います(『君の名は。』以降はかなり作風が変わったが…。)
毎度毎度「童貞くさい」とか揶揄されながらも国民的作家にまで成り上がったのは、映像美や演出の巧さもさることながら、この作品に対しての正直な姿勢が広く受け入れられたからなんでしょう。
本作のように、新海誠のフォロワーが新海誠っぽい作品を作ろうとしてポエティックな部分だけを真似している様は、観ていてキツいっす💦
シナリオも薄っぺらい。
取ってつけたような問題と、取ってつけたような解決。
「就活の大変さ」は共感できる問題ではあるが、そこに母親とのイザコザをぶち込んでしまった結果、なんだか駆け足だったり詰め込みすぎだったりする作品になってしまっている。
たった30分しかないんだから、難しい問題は扱わず淡々と猫と彼女の日常を描けばよかったのに。
あと、黒猫の声。
あの猫って10歳の老猫なんでしょ。
全くそんな風に見えない描き方の下手さも酷いし、セリフが爽やかボイスなのにも違和感。
どう考えても平泉成的なお爺ちゃんボイスの声優が最適でしょうに。
死にかけの猫に見えないから、作品の根幹が凄くブレてしまっている…。
普通の映画ファンにはオススメ出来ない。
新海誠の大ファンにはオススメ。
花澤香菜のアイドル映画としてみれば、観れないこともない…かな?