私を忘れないでのレビュー・感想・評価
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私を覚えているあなたへ
韓国十八番の記憶喪失×ラブストーリー。
『私の頭の中の消しゴム』でアルツハイマーの妻を支えたチョン・ウソンだが、本作では彼が記憶喪失に。
交通事故から目を覚ましたソグォンは過去10年の記憶を失っていた。
自分が住んでいたマンションも思い出せない。弁護士だったらしいが、同僚や依頼人も覚えていない。
そんなソグォンの前に現れた一人の女性、ジニョン。初めて対した時、涙を流す。
以来度々会うようになったジニョンにソグォンは惹かれ始めるが…。
必然的にソグォンの失われた10年やジニョンの正体が気になってくるが、それまでの間、担当していた弁護案件や複数の女性、現状のラブストーリーが交錯し、全く関係ナシではないが、ちょっと展開的にちぐはぐな印象。
終盤になってやっと秘密が明かされ、ここからは引き込まれる。
ジニョンの正体は、ソグォンの妻。二人は結婚していた。
出会い~恋に落ち~結婚。子供も生まれ、幸せな日々。
何故幸せな日々の記憶が失われた…?
幸せは長続きしなかった。
次第に夫婦仲が悪化。離婚も切り出す。
息子の存在が唯一だった。
その息子が交通事故に。助けようとしたソグォンも…。
徐々に記憶を思い出していく。
が、記憶を思い出した時、ショックのあまり再び記憶を失ってしまう。
ソグォンにとってかけがえのなかった時間。幸せや悲しみあれど、妻との出会い、息子の誕生。
記憶を失ってしまうほどの悲劇だった。
一見タイトルは、記憶を忘れゆくソグォンへのジニョンの思いにも聞こえるが、ソグォン自身の言葉。
私を覚えているあなたへ。私を忘れないで。
悲しみと忘却の中、あなたは見つけてくれた。
予想外の展開
自分で失踪届を出すオープニングに引き込まれる。
それにしても自分の職業が弁護士であることも忘れているとは、何かサスペンスが始まる予感さえする。ソグォン(チョン・ウソン)は自分の周りのことさえ思い出せないでいるのに、彼女となったジニョンについても謎だらけ。法律は全部覚えているから日常業務に差支えないらしいが、失踪事件の案件だけ取り組むものの、全部忘れてしまっているのだ・・・こんな弁護士に頼めないな(笑)11歳の時に死んだと思っていた母親が急に現れ、また死んだという摩訶不思議なエピソード。絶対にミステリーだろ!と思わせておいて、ジニョン(キム・ハヌル)の純愛モノへと変化する。
二人は結婚するための準備にとりかかるが、式の証人を同僚に頼んだところ、妙な顔をされるのだ。ソグォンにとっては謎だらけとなるが、すべてを知るCAのジニョンは幸せそうで、二人でオランダ移住計画も立ててしまうほどだ。
終盤、実は二人は10年間結婚生活を送っていたという記憶が甦る。しかし、ウンドンという息子がいたことも思い出したソグォンは気が狂ったように探し回る。交通事故の際、息子は即死していたことを知り、再び彼の脳は闇に閉ざされてしまうのだ。やがて自らの意思で10年分の記憶を閉じ込めてしまい、再入院後には自分が誰だったかも忘れてしまう。
前半は前向きな明るい記憶喪失といった雰囲気だったが、後半には暗く、記憶と葛藤する主人公が可哀そうで仕方がなくなってしまう。残りの人生を記憶を取り戻したり、また記憶喪失になったりと繰り返すのかと想像すると不憫でならない。そんなソグォンを懸命に支えていこうとするジニョンの純愛にも涙するはずだ。
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