眼球の夢のレビュー・感想・評価
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アブストラクト+機械仕掛けの?
フライヤーの奇抜さ、『リョナ』を感じさせるイメージに興味を掻きたてられ、鑑賞を決意。内容がかなり怪しいだけに上映館も圧倒的に少ない。仕方ないのだけど、多分こういう映画は今後、DVDやオンデマンド配信のみという発表手段になってしまうのだろう。監督がピンクの重鎮と呼ばれていることや、プロデューサーが外国人、そして役者陣が無名であること、多分壇密の『柳の下のドジョウ』的な主役の女優等々、制作側もなかなか怪しさマンテンである。
設定やプロットも普通とはかけ離れているかなり異質で病的な世界観の中、唯々人間の『眼球』のみを追い、撮り続ける女カメラマン、そしてそのカメラマンに興味を抱き、被写体としてドキュメント映画を撮る映画監督兼精神科医師。
『幻影枝』と言われる、事故等で無くなった手足があたかもあるが如く色々な感覚(痛覚等)をもたらすという不思議な身体の仕組みに、この女カメラマンも罹っていると診断される。診断するのがこの監督兼医者だから、どこまでそれが本当のことなのか分からない。監督はもっと狂気を撮りたいと願う余り合成麻薬を処方し始め、益々女を、そして同性愛の関係だった女の友人をも狂わしていく。そしてその狂気は被写体としての“眼球”から正にそのものに移行してゆき、眼球を抉り抜く行為に及んでいく。
観念的な作風であり、アブストラクトと、一種SM的な概念が挟まれているようだ。いずれにせよ自分に欠けているものを取り込もうとする狂気は正にセックスそのものなのかもしれない。
よく、映画で女優が脱ぐことに必然性などないという人がいるが、多分品行方正の大人しい作品のみが映画だと思い込んでいるのだろう。テーマに依っては、絶対的に『裸』は必要になる。代え難いものなのだ、女の裸というものは・・・
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