「続編はカモメが主人公を希望」ロスト・バケーション Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
続編はカモメが主人公を希望
海洋パニックでほとんどワンシチュエーションな作品だが、徹底したリアリティを追及した「オープン・ウォーター」とは趣の違う作品だった。なかなか出てこないサメに不安感を覚えつつ、頭によぎる過去作の数々・・・。「ジャングル-不滅-」「ブラック・ウォーター」等だ。監督が監督の為、流石にそんな凡作では無いと思ったが、それどころか期待以上の完成度の作品だった。基本は主人公、サメ、カモメだけで構成されているが、脇を固める出演者もいい味を出している、非常に良い構成のパニック作品だった。冒頭で秘密のビーチまで乗せてくれた感じの良い男。主人公と居合わせたサーファー二人、酒に酔って浜辺で寝ていた男。誰しもが良い具合に希望と絶望を与えてくれるスパイスとなっている。
主人公が医学生という設定の時点でピンと来たが、激痛手術シーンが登場する。血がドバドバ出るスプラッタはパスタを食べながら観れても、実際に起こりそうな怪我やそれを治そうと荒手術をするシーンは思わず顔をしかめてしまうものがある。本作ではそんなリアリティある描写と、果てしない絶望感に加えて、サメがかなりデカくて凶暴であり、金属製のブイに体当たりや噛み付く等で破壊する荒業まで披露する化け物であったという現実離れした設定が加えられている。この不釣り合いな描き方が映画としての見応えを作っているのだろう。
そこに時折ほっこりさせてくれる、怪我をしたカモメの存在。「ディープ・ブルー」ではパクっとやられたインコもおり、なんて酷いことをするんだと思ったものだったが、本作のこのバランスの良さが質をより高めたのだと思う。
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