「派手さはないけどすごくリアル、きっちりオチがついていてスカッとするパニック映画。」ロスト・バケーション Push6700さんの映画レビュー(感想・評価)
派手さはないけどすごくリアル、きっちりオチがついていてスカッとするパニック映画。
サメの出てくる怪物パニック映画はゾンビ映画並にいっぱいある。
元はやっぱりスピルバーグ監督の最高傑作『ジョーズ』だと思う。
でも『ジョーズ』のように現実的なのはあまりなく、少々ぶっ飛んだ感じの設定の物が多い。
それはそれで面白いのだけれども、この映画はリアル系で、ドキュメンタリーでもいけそうな感じでした。
これに近いサメ映画をあげるなら『オープン・ウォーター』かな?
でも『オープン・ウォーター』のように後味は悪くなく、きっちりオチがついていてスカッとするエンターテイメントになっているし、ラストも爽やかで希望に満ちた感じでした。
こういうパニック映画の場合、なんで自分が?とか、なんでこんなことになった?とか、なんでこんなところに来てしまったのだろう?とか、犯人探しや後悔のシーンが必ず入るのだけれど、そういうところが一切なかった。
主人公のナンシーは一切弱音をはかないし、後悔もなし、恨みもなし、ひたすら前を向いて全力で生き残ろうとする。
考えてみたら、サメも別に悪いわけではないし、人間にしてみれば凄い怪物で悪だけれども、サメにしてみれば普通に生きているだけ。
食うか食われるかの自然界では日常普通にやっていることで、別にたいしたことではなく、これが世界の真の姿といえなくもない。
ナンシーもそう考えているようで、小さいカニを誤って殺してしまい、それを意味もなく食べようとして結局食べられず吐き出してしまうシーンがあるけれど、ここがナンシーの考え方を表しているような気がした。
映画化もされた『神さまの言うとおり』(突然、怪物が現れてその怪物と殺し合いのゲームになる)というマンガがあって、くだらないマンガと思っていたけれど、こういうことが言いたかったのかもしれない。