「「自由の国」の絶望」ノー・エスケープ 自由への国境 yookieさんの映画レビュー(感想・評価)
「自由の国」の絶望
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砂漠版ドント・ブリーズという宣伝文句の通り、息つく間もない緊迫の88分!マン・ハントを娯しむ白人オヤジとシェパード犬の狂気が怖くて、そして惨めでした。様々な理由がありアメリカへの国境を越えたメキシコ人達を次々に狩っていく、このオヤジが「自由の国へようこそ!」とニヤつきながら発した言葉には、背筋が凍るほどゾッとします。クライマックスの巨大な岩場での追いかけっこは、ハラハラしつつも面白くて、くまのぬいぐるみの演出もクスっとさせられるし、緊張と弛緩のバランスがとても上手な映画でした。始まりと終わりの映像は凄まじく美しくて、原題の「砂漠」というタイトルが、最初は日の出と共に、最後は夕暮れの後の星空にと浮かび上がるところに、本作のテーマの普遍性を現しているように感じられます。主演のガエル・ガルシア・ベルナルさんの演技も素晴らしくて、ダビド・シルバ似のお顔立ちも大好物でした。どんな狂犬でも、人間喰ってても、犬さん死ぬところは可哀想と思ってしまうので、犬好きな方にはオススメしませんが、今、映画館で観るべき一本だと思います!
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