グッバイ、サマーのレビュー・感想・評価
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結局誰も幸せにならず、持たざる者は去って行く
まず、「行く前」と「行ってから帰ってくるまで」の物語的スピード感のバランスの問題。
後半のローラーコースター的展開を決してご都合主義だとは思わないし、あのスピード感を主人公が精神的に成長する「前後の表現」であるとするならばそれはそれでわからないでもないがどうも急速すぎる。
主人公が決定的に成長するに至った究極に追い詰められた出来事もこれと言って特に思い当たらない。
ラストシーンはすごい好きだけど、トータルとしては、主人公は結局最後に全てを手に入れてしまったヒーロー誕生物語になっている。
やはり最後は、「セオに言われた通りワンパン喰らわそうと思ったけど返り討ちにあっちゃって、それでもそんな主人公でも、あの娘はずっと君を見てるよ」って話にしないとダメだ。
セオの扱いも悪すぎる。逃げるように街を出た彼のその後が語られないなんてあんまりだ。
結局誰も幸せになってないまま最後に突き放されてしまった。
素敵な映画
年相応の性への興味や悩み、スクールカーストなどが描かれていたがあの年で車の基礎を作ってしまうのことは少し利発過ぎではないかと思った。
だがその車を通じての旅や出来事はどれもキラキラしていて素敵で、思わず学生時代の親友に会いたくなった。
ぜひ続編があるなら観たいものである。
キュートなバディムービー
なんともキュートな思春期映画でした。
ダニエルとテオのバディ感がたまらないです。絵のコンテストが開催される街・オルー=アン=モルヴァンに着いたときに、2人でウキウキ歩きをするシーンとか最高!
それから、自作のハウスワゴンがとても可愛らしい。花がとても素敵だ。
バディムービーですが、主人公はあくまでもダニエルであり、ダニエルの成長していく姿が魅力的でした。
ダニエルが坊主になるところがイイですねー!長髪時代はただかわいいだけだったダニエルだけど、坊主にしたら表情もちょっと不敵になって、ちょっぴりタフないい男になったと思います。
誰かに頼らず自分で決めて行動することで人間は成長していく訳ですが、やはり顔に出ますねぇ。
一方、テオの気持ちはあまり描かれていないのがやや残念。ダニエルに比べて大人びているし、しょうがないのかな。兄と弟に近い関係性ですし。
とはいえ、テオの言葉「俺に一度でも質問したことがあるか」は悲しくて胸に刺さりました。テオは強いけど、ダニエルよりもずっと孤独だからね。ラストにおいては、テオはさらに孤独な環境に置かれてしまい、なんとも遣る瀬無い。いつの日か、ダニエルと再びツルめるようになればいいなぁと思わずにはいられませんでした。
ロマのキャンプが襲撃されたシーンなど、フランスの暗部もさりげなく描かれていて良かったです。
ロードムービーっちゃロードムービーですけど
少年たちのちょっとおかしなひと夏の旅。
ミシェル・ゴンドリーの監督作品だけれども、彼の特徴的な作風とは少し違い、どこか正統派の少年物語のようでもある。とは言え「走る家」という発想やその光景は、確かにファンタジックなロマンがあるし、そもそも「少年時代」そのものがある意味ファンタジーだよなとも思う。
女の子のような容姿をした14歳の少年と彼よりも少し大人びた雰囲気の少年とが出会い、手製の「走る家」で小さな旅に出る。そんな夏休みの物語で、ひと夏を通じて少年たちが少し成長する、なんて書き方をすればあまりにありふれてしまうが、この作品はもっと瑞々しくて軽やかでどこかメルヘンチックでもあった。
この映画が違うのは、大人が少年時代を振り返るような描き方ではなく、今まさに少年時代を生きているその視点で物語が描かれていたところだ。過剰な感傷も懐古も挟まない。ついつい「大人が少年時代を懐かしむ」ような美化が青春映画には加わってしまいがちだが、この映画にはそれが無かったのがとにかく良かった。だから、大人のノスタルジーを喜ばせるようなエピソードはほとんどなく、特別な出会いがあるでも、特別な出来事と出会うでもなく旅は進む。けれども小さなハプニングの積み重ねが、少しずつ何かを引き起こしているのを感じさせつつも、それをさらりを描くさりげなさも含め、ひと夏の旅がチャーミングで愛おしかった。
主演の二人の少年たちがそれぞれに違った魅力を放っていて、それぞれにキュートだ。二人が笑っても怒ってもぶつかっても、すべてが眩しいほどのケミストリーを発生させていて、画面の中で二人が弾けるたびに映画の温度が少し上がるような熱を感じた(美少年はサムライヘアーにしても丸坊主にしても美少年なんだね)。
ミシェル・ゴンドリーの演出は、過去の作品を見ても時に華美になり過ぎて目にうるさいこともあったが、この映画ではそんなことは一切なく、寧ろゴンドリーは自分の手癖を最小限に抑え、代わりに少年たちにすべてを託していたように思えた。
テオの言っていた「個性は髪型ではなく、行動と選択で決まる」はまさしくその通りだと唸った次第。
どうでもいいことだが、私は「途中で髪を切る映画」が好きだ。
60点
コメディーとして見よう
三つ数えて七つ数えて無限
こうやってフランス人は大人になっていくのかな。
どんな国にもイジメや家庭不和はあるのだろうけれど、彼らは14歳の頭で考えて決断して行動している。何でも助ける、手を差し伸べる日本とは違うのだなと改めて感じました。
笑える箇所も意外にあって、フランス映画のまったり感もなく。Audrey Tautouが一見おばさん風なんだけど(笑)、でもやっぱりチャーミング。
風俗店のシーンが、日本人として「うーむ」と思ってしまいましたが、それを除けばとても素敵な作品でした!後でメイキングも観ましたがそれも良かったです。
キュンときたよ
すごい
ミシェル・ゴンドリーの作品は一見して分かる作家性の強いものが多い。
それはテーマに関係なく、ファンタジーなのにリアル、喧嘩してるのに笑える、シリアスなのに幻想的といった、常に両極的な要素を孕んでいる。そのため、時には分かりにくいと取られることもあれば、ひねくれていると揶揄されることもある。
そういう観点で言えば、この映画は彼の作家性を理解するのに、比較的分かりやすい入り口と言える。
見た目の全く違う二人。
家庭の環境が真逆の二人。
考え方が全く違う二人。
そんな凸凹な二人が旅に出る。
思春期というアンビバレンスな時期にフォーカスを合わせることで、わかり合うのではなく、違いを認め個人として成長する。
でもただの子供の成長の話ではない。
そんな説教くさい話なんてごまんとあるが、この映画はそんな大人のノスタルジーを満たすためだけのものではない。
色んな両極性を孕んでいるが、ロードムービーにすることで始まりと終わりがあるという枠を設けて観やすくなっている。
窓口は広く、作家性も保つ。
ゴンドリーはまたすごいことをやってのけた。
よかった
子供が自動車をDIYで作って旅に出るなんてもっとワクワクしていいはずなのに、あんまり魅力を感じなかった。『コップカー』の方がずっとワクワクした。DIYなら『グリーン・ホーネット』のカンフー男がすごくよかったので、また『グリーン・ホーネット』作って欲しい。
あんなふうに自作で車を作れたらさぞ楽しいだろうと思ったのだが、あまりに簡単に作っていて、ボディがエンジンと比較してでかすぎて燃費も悪そうだ。ブレーキもないみたいだった。外装はどうでもいいから、もっと機械的に苦労しているところが見たかった。
ひと夏のおもひで…?
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