「涙腺の緩む映画が好きな方にはお勧めです」planetarian 星の人 清水の伏竜.さんの映画レビュー(感想・評価)
涙腺の緩む映画が好きな方にはお勧めです
感情に訴える映画を観たとき、涙腺が緩むかどうかは、観る人の心の豊かさに関連していると言えるでしょう。
この映画は、人として心の豊かな人であれば涙腺が緩むこと間違いない作品のひとつであると思います。
物語は、人が過ちを犯した後の荒廃した地球です。
星の人と呼ばれる老人が、その人生の旅の最後に辿り着いた町で
希望と出会い感謝と出会い、幸せに逝くことになるまでの物語。
OVAで5話の物語が先行して配信公開されていますが、
そちらを観ていなくても劇場版だけで良いとも言える出来です。
OVA版の方は新しい旅路までを描いているという感じですので、
まさに劇場版が完結編であると言えるでしょう。
その意味では、劇場版だけでも観て欲しいなという作品です。
SF的には、ロボットを扱った作品ということになります。
ロボットの持っている2つの側面を象徴的に表現しているとも言えるでしょう。
そして、ロボットであるが故の言動の限界と可能性の中に
人が人以外に感じることのある感情の存在と愛おしさへの想いが
語られています。
また、対比的に登場する武器としてのロボット、無感情で機械的な存在の中に、ロボットの負の側面をみることでしょう。
しかし、そんなロボットたちに対して、弁解とも言うべき言葉を語るロボットの少女、その無垢で純真な姿は、日本人のロボット感のひとつの原点であるアトムの系譜を感じることが出来ます。
そんな物語の中で、星空という自然のきらめき、美しさが重なるなかで、地球と宇宙の中に生きている人間の姿、そして、人間のもっている可能性と未来への希望が、子供たちの姿に投影されていると言えるでしょう。
星の人として生きることになったひとりの男性の心の変化と
星の人として生き続けて、最後の時を迎えるにあたって、
幸せな希望を感じることのできた人生の在り方。
繋がれた未来への絆、
生きることの価値と希望、そして夢とは、何か
多くの答えのあるだろう問いに対する
ひとつの選択肢としての答えを語りかけている。
そんな作品であると言えるのかもしれません。
感動できない人は、可哀そうな気がします。
だって、とても素敵な体験が出来ないのですから。
でも、それは人それぞれの魂の違いでもあったりします。
この映画を観て涙腺が緩むことが出来る自分の魂の今に
感謝します。