「そうか、「絶望の」」淵に立つ クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
そうか、「絶望の」
変なタイトルな映画。「淵」って何だろう。田淵とか長淵とか人の名前でしか聞かない漢字。あれ、ひょっとして「ブチ」か?猫?
そうか、絶望の淵に立つ。
所々にその「絶望」があった。
八坂は約束が絶対。約束の為なら殺人も犯す。彼の絶望はアキエとの「密約」だと思っていた。トシオがいないその時に掌を返された。絶望した彼も覚悟し掌を返した。
アキエは常に「淵に」立っていた。彼女は神様に縋っていたが、次第に自分しか信じられなくなり、最後は道連を選ぶ。
そんなアキエを道連に向かわせたのはタカシだった。彼の絶望はアキエに言われた一言。彼はそれを受け容れようとする。そんな覚悟ない、と言い切られてしまうが、彼はあの人の息子。でもあの人とは違う覚悟があった。
トシオは絶望には鈍感。八坂が現れ居着かれても、アキエに八坂との過去がバレても、八坂がその後見つからなくても、絶望とまでは思ってなかった。そんな彼に訪れる「絶望の淵」は余りにシンドイ。
ホタルは絶望しても、自力で何とかする。
それがラストに現れる。
河辺で八坂のトシオへの一言が、劇中で八坂の心情が見られる唯一のシーンだが、そのセリフが戦慄。
セリフも少なく、ナレーターもテロップも無い作品で、フランス映画っぽいなーと思ったら、フランスとの合作でした。
決して楽しい話ではないが、「面白い」作品でした。
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