「ホラー映画である」淵に立つ シンドラーの手帳さんの映画レビュー(感想・評価)
ホラー映画である
厭な結末だと思った。決して驚きのあるものではないが、「家族」というのを、これほど否定したというか、あからさまに問題を張り付けてそのままにしておく・・みたいな、「希望の無さ」には、強い憂鬱感が沈殿する。
そして、この家族が決して特別なものではなく、ちょっとした仕草などは、もはや我々と同質であることが提示されているので、恐怖すら感じるのだ。
また、核心の「事件」については、具体的な描写が皆無であり、これについては観客にゆだねられているところももどかしい。
浅野忠信の装われた「白」の下に隠れる「赤」、筒井真理子が娘に着せる「赤」、筒井が見る「白い」シーツから覗かれる浅野の幻影などは、ホラーの領域に達しており、何かハネケの映画を観たような既視感に襲われた。
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