「全体的にはもう一声も、このユルさは嫌いじゃない」疾風ロンド スペランカーさんの映画レビュー(感想・評価)
全体的にはもう一声も、このユルさは嫌いじゃない
簡単なあらすじを読む限りはシリアスなサスペンス映画のようでしたが、実際見てみたらサスペンス仕立てではあったものの、ほぼコメディ映画でしたね。
まあ予告編でかなりユルそうな雰囲気は醸し出していましたので、これはこれである程度想定の範囲内、しかも監督が「あまちゃん」の監督とのことでしたので、それを考えれば何となく納得は納得の作品でした。
たた個人的にはもうどうせならもっと脱力系の作品に仕上げちゃっても良かった気はしましたね。
でも原作が東野圭吾作品ともなると、これ以上はふざけられないか、クスクス笑いは結構あったものの、コメディとしてはやや中途半端だった印象で・・・勿論、サスペンスとして見たら目も当てられない映画ですから、これだと世間の評価は微妙なものになりそうですねぇ。
まあしかし、阿部寛のコミカルな演技は見ていていつもながらに面白かった!
さすがに「テルマエ・ロマエ」級には遠く及びませんが、阿部寛だからこそ楽しめた映画だったと思いましたよ、笑いの内容そのものはかなりスベリ気味でしたけど、阿部寛が作品を救いましたね。
それプラス、主人公・栗林にはサラリーマンの悲哀も感じられて、父子の関係には思わず感情移入させられました。
人はいつの間に保身に走ってしまう生き方に変わってしまうのでしょうか(自分も含めて)。
しかし息子役の濱田龍臣がイケメンに成長していてビックリ、ゲレンデで知り合う女性役の久保田紗友もめちゃくちゃ可愛く成長していて、2人の今後がとても楽しみになりました。
生物兵器を探すメイン部分については、まあそもそもあんな雑な瓶詰め状態の時点でこれコメディですので真剣には見ないでくださいと言っているようで、とても恐ろしいことなのに緊張感は皆無でしたね。
研究所の所長が柄本明の時点でほぼコント、途中阿部寛が志村けんに見えてきました(笑)
ここはサスペンスの意識は捨てて、父子の物語に感情移入しながらドタバタ劇のクスクス笑いに身を委ねるのが吉と言えましょう。
それはそうと謎の男役のムロツヨシが何気にいい味出してましたね、クスクス笑いには欠かせない俳優さんです。
客引き要員?の2人、イケメン担当の関ジャニ大倉と美女担当の大島優子のお子ちゃま恋愛描写にはちょっぴり失笑も、雪山アクションはなかなかの見応え、阿部寛の胡散臭さとは対照的で画的に映えました、大島はスノーボードがリアルに上手なんですね、ムロツヨシとの対決は最高でしたぁ~。
まあ全体的にはもう一歩感が否めなかったですが、肩の力を抜いて見れるこんな映画、意外と好きです。