グローリーデイのレビュー・感想・評価
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軽い青春ものだと思っていたのに、どんよりと重くなる作品。
4人の仲間。軍に入隊しても俺たちは一生仲間だよな!って感じの青春映画のはずだったが、冒頭から浦項(ポハン)の分署の警官に追われ、送り出すはずのサンウがひき逃げ事故に遭い、救急車で搬送される。残りの3人ジゴン、ヨンビ、ドゥマンは本署に連行され、事情聴取を受けることになるが、傷害罪よりもひき逃げ事件の方が重大だろ?!などと、警察の横暴ささえも気になってくる。
しかし、事態は一変。被害者の男性が死んだと告白したその妻が彼らの推定無罪を覆してしまうという展開だ。4人の仲間は暴行(もしくはレイプ)されている女性を助けようと被害者男性と取っ組み合いになったのだった。その末に男性は船の上に落ちてしまう・・・彼らは男性が死んだとは思っていなかった。
夫を亡くした女性は地元放送局の美人アナウンサー、パク・ウネ。夫は資産家であるため、彼女の浮気が発覚すると相続もままならない・・・などと噂されていたので、彼女は速やかに事件を解決してもらいたいと申し出るだけ。ここでは浮気相手Xが夫を殺したんじゃないかと疑問視もされるのだ。
18歳という若さだけど、傷害致死という罪は重くのしかかる。サンウは祖母と暮らす貧困家庭だが、ジゴンの父は市会議員、ドゥマンの父は大学野球部の監督、ヨンビの父は刑務所暮らしという特異な家庭環境で、それぞれの家族が刑事課チーム長に圧力をかけたりする。そして、サンウが意識不明の重体だと連絡が入り、罪の擦り合いから、やがてサンウ一人に罪を着せようと・・・
罰金刑だけで済んだ残された3人は一生罪悪感を背負わなければならない。罪を逃れるためだったのに、それよりも重い十字架を背負わされたのだ。脆すぎる友情。人間らしさを失ったことで、満足するのは親だけ。若気の至りでは済まされない・・・
韓国の大学進学率は世界一とも言われるほどなのに、この物語では様々な事情でドロップアウトした若者たちを描いていて、徴兵制や警察の暴力、そして貧困、政治的腐敗など色んな社会派テーマも盛り込んである。何より、明るいバチェラーパーティみたいなおバカ映画から深刻な友情崩壊物語に転ずるところが凄い!タイトルも軽い感じなのに、かなり皮肉ぽくなっていると思う。ただし、轢き逃げ犯はどうなったとか、本当の殺人犯は誰なんだ?と疑問が残るところが残念なところ。
何故このタイトル???
世の中の不条理とか、
卑怯な大人たちとか、
事なかれ主義の役人とか、
絶対だと信じたはずの脆すぎる友情とか、
意味もなく若さを頼りに楽しい未来だけを信じる青年たちが、大人へと成長していく過程に社会の負の部分に触れ打ち砕かれ、現実を知り、そしてやがて自分も、反発した対象(大人たち)と同じ轍を踏むことを選んでいく。
このやり切れない虚しさ、誰もが一度は経験しうるような心の葛藤は描いたと思う。
だが、いくらなんでも罪もない人間を殺人犯に仕立て上げ意識不明のまま死なせるのは…タイトルのせいもあり後味悪過ぎた。
気になっていたグローリーデイ
もともと韓国で公開されるというニュースを耳にしていたが、日本では見ることはできないのですっかり忘れていたところだった。
最近このアプリを使って映画情報を知るようになり、
なんとなく見ていたらなんとグローリーデイが。
日本で公開されているなんて知らなかった。
そんなで急遽観に行った。
正直エンディングはここ?というタイミングで終わったため、後味悪いと最初は感じたが、
わざわざ90分弱という短さにした理由がある気がした。
ただサンウが犠牲になって罪まで着せられ、友情が壊れた、そんなような話のような気がしたが、違った。
観終わってもう一度考え直すと
大人の卑屈さ、社会の切なさ、人間の冷たさ、不条理
そんなものを当たり前のように思う大人がいるんだ、
大人はそうやって生きてしまっている、
青年の純粋さは永遠に忘れてはならない、
そんなメッセージを感じられた。
複数回観るとそれがより伝わってくる気がする。
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