ヒッチコック/トリュフォーのレビュー・感想・評価
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ヒッチやトリュフォーに寄せる現代の映画監督たちの畏敬の念が垣間見える
映画ファンにとって必携の書とも言われる一冊、それが「映画術」。ヌーヴェルバーグを代表する映画監督であり評論家でもあるトリュフォーが自らヒッチコックのもとに乗り込み、彼の監督作について丹念に話を聞き、対談形式でまとめた画期的な書籍だ。
この分厚くて巨大な本を意欲的に紐解くのは我々にとって根気のいる作業。しかし世の中の高名な映画監督たちがいかにこの本と向き合い、愛し、自らの作家性を発露する上での知恵と技術の礎としてきたかを知れば、重い項を開くモチベーションが湧くというものだ。この映画「ヒッチコック/トリュフォー」はまさにそうした原動力となる一作。
ウェス・アンダーソンやデヴィッド・フィンチャー、黒沢清を始めとする個性を確立した監督たちがいかにしてこの一冊と出会い、衝撃を受けてきたのか。「本」について語ることで、間接的に彼らのヒッチコックやトリュフォーへの畏敬の念が浮かび上がる構図が面白い。
尊敬する監督たち
美術的センスと技術を兼ね備えた人だからこそ、ヒッチコックならではの...
裏窓
愛らしいヒッチコック
音源・写真は貴重なれど、深掘り不足
このタイトル、ゾクッとした。
1962年、トリュフォーがヒッチコックに1作品ごとに丹念にインタビューしてつくられた本『ヒッチコック/トリュフォー 映画術』を思い出したから。
それもそのはず、当時のインタビュー音源をもとに再構成して、ヒッチコック映画の秘密を探ろうという映画だから。
さて、映画の内容は・・・といっても、先に書いたことが全てなのだけれど、マーティン・スコセッシ、デヴィッド・フィンチャー、アルノー・デプレシャン、黒沢清、ウェス・アンダーソンといった名だたる現役監督が、ヒッチコック映画について「おお、あれは素晴らしい」とか「最高だ」とかの大多数が賛辞のコメントを寄せており、それにかなりの尺が割かれている。
これは映画として正解なのかどうかは少々疑問。
まぁ、著名な監督のお褒めの言葉は、ヒッチコック映画への入門編として妥当かもしれないが、職人監督・テクニシャン監督としてのヒッチコックの技術を本『映画術』からもっとたくさん引用してほしかったところ。
『めまい』における、ジェームズ・スチュワートが高所恐怖症のために、宙ぶらりんで覗いた遥か彼方の地面が遠のいていくシーンや、
『サイコ』における、マーティン・バルサム扮する探偵が、謎の人物に襲われ、階段を落ちていくシーンや、
この映画では登場しなかったけれど、『白い恐怖』のラストでレオ・G・キャロルが握る銃の銃口がこちらを向くシーンなどを、どのように撮ったのか。
本では、トリュフォーは、ここいらあたりも訊いている。
いまやCGを使えば、どのようなシーンでも描けるようになったが、当時はそんなことはなかった。
動かないものを、どのように動かすか。
そして、動かない観客の感情を、動かない画の連続によって、どのように動かすか。
ヒッチコックは、そこに注力していた。
モーション・イズ・エモーション。
貴重で、かつ興味深い題材だったけに、いま一層の深掘りが欲しかった。
ヒッチコック愛されてて微笑ましい
続けて観たくなるよなぁ
名著「ヒッチコック / トリュフォー」を元に作られたドキュメンタリー。とはいってもフィルムがある訳ではなく音声と写真。そこにヒッチ映画をちゃんと見せながら解説。オーソドックスながら贅沢。その上スコセッシやらフィンチャーやらWアンダーソンが出てきてヒッチコック映画について語る。
それで十分なのだが・・・ 猛烈に「めまい」と「サイコ」を観たくなりましたよ!グルメ本みたら食事に行きたくなるのは至極当然だ。
米映画界の職人監督がフランス映画人によって作家として評価された、という重要な側面もライトですがちゃんと伝えていました。
あの本はそういう本だったのか
≪定本 映画術 ヒッチコック・トリュフォー≫という分厚い本があるのは知ってたけど、「読むのはさすがになあ」と思ってたけど、読んでみようと思ったよ。
映画は、色んな著名監督が出てきて「このシーンがすごい!」と語るんだけど、「確かに!」っていうのが多かった。
ヒッチコックは映像技術が凄いんだね。午前十時の映画祭で≪めまい≫を観たときに、「これ駄作じゃね?」と思ったから「ヒッチコックそこまでか?」とも思ったけど、確かに映像技術は凄かったし。
「ヒッチコック作品は結構観たよなあ」と思い込んでたけど≪鳥≫≪北北西に進路を取れ≫≪裏窓≫≪下宿人≫≪サイコ≫≪めまい≫しか観てなかった。印象が強いから、沢山観た気になってたの。
これから沢山ヒッチコック作品観れると思うと、楽しみが残ってて嬉しくなったよ。分厚い本も読んでみる。
知名度は抜群に...だが
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