「沢山の罪もない子供たちの今ある現状の一例」LION ライオン 25年目のただいま spoonさんの映画レビュー(感想・評価)
沢山の罪もない子供たちの今ある現状の一例
これを観ながらふと、日本の拉致被害者とその家族の事が頭をよぎった。
悲しいかな、拉致被害者があれだけ必死に声を上げていてもなお、どこか他人事で、時と共に日常の忙しさに理由をつけて薄れていく日本という国は、裕福だけど、心が空虚で貧しいなと感じた。
特に後半でサルーが故郷のお母さんと再開して抱き合うシーンで、自然とその周りを大勢の人々が取り囲み、一緒になって自分の事のように喜んでいる様子は、インドの人たちの貧しいけれどキラキラした純粋な心が映し出されていて印象的だった。
サルーの少年役のサニー・パワール君の無邪気な表情とくりっとしたお目々が純粋無垢でとても可愛かったです。
養母のセリフが良かった。
「世界は人で溢れている。子供を産んで世界が良くなるとは限らないわ。あなたたちのように傷つき、苦しんでいる子供を引き取ってチャンスをあげられた方が役に立てる。苦労するのは覚悟の上よ。」
サルーのように、こんな恵まれた養母と養父に育てられるとも限らないからだ。それだけの決意を持って育ててくれてよかった。
エンディングの曲もsiaの「NEVER GIVE UP」で、映画とリンクした内容でぐっときました。実際の映像や、何故LION(ライオン)というタイトルなのかも最後明らかになります。ラストエンドロールまで素晴らしかったです。
毎年インドで行方不明になる子は8万人以上…。サルーはまだ故郷で再開できて、よい夫婦の元で育って、まだ良い方なのだなとも思うと、目を背けたくなるような現実に物悲しく感じた。