「こんばんは、チケット22枚。カードて払う、急いでくれ」ストリート・オーケストラ shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
こんばんは、チケット22枚。カードて払う、急いでくれ
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映画「ストリート・オーケストラ」(セルジオ・マチャド監督)から。
「ブラジルのスラム街の子どもたちによって結成されたクラシック楽団
『エリオポリス交響楽団』誕生の実話を映画化」
この解説に、ストーリーも結末も予想がつくなぁ、と思いきや、
最後に大ドンデン返しの結末が待っていた。
偽造クレジットカード制作など、悪事を繰り返していた子どもたちが、
音楽(楽器演奏)を通じて、荒んだ心が次第に回復していく、
誰もがそう思うストーリー展開に、くさびを打ち込んだ結末かもしれない。
自分たちに音楽の素晴らしさを教えてくれた、バイオリニストの先生が、
演奏する音楽会は、もちろん高額のチケット代が必要になる。
しかし、なんとしても1度観てみたい・・その想いが強かったのか、
チケット売り場で交わされた会話が、
「こんばんは、チケット22枚。カードて払う、急いでくれ」
人間、そう簡単には変わらないし、逆に子どもたちの「したたかさ」に、
拍手を送りたくなったほど、印象に残ったシーンである。
上司の葬式の日、翌日からの意識改革を堅く誓った役場職員らが、
実は、翌日に職場に戻れば、また同じ仕事ぶりに逆戻りしてしまう、
そんな人間の心の弱さ、したたかさを描いた、
映画「生きる」(黒澤明監督)のラストシーンと似ていた。
実話だからこそ、この後のスラム街の子どもたちの様子が気になるなぁ。
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