「さも分別のありそうな、何もできないオッサンの話。」ティエリー・トグルドーの憂鬱 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
さも分別のありそうな、何もできないオッサンの話。
去年観た「サンドラの週末」もそうだったが、貧困、失業をテーマにしたフランス映画は、やけに気が滅入る。
主人公ティエリーに、職探しに頑張ろう!という気分はなく、覇気もない。見ているこっちまで暗くなる。さも自分は善人だというような意識を持っているようだが、何もやれない何もできないだけじゃないか。自分の今の境遇は自分が今まで生きてきた結果だということをわかっていない。そういうのを相手にしている職安の職員さんにこそ同情してしまう。最後なんて、自分は人を人として見ることができないところでは働かない、と大見えを切ったように見えるけど、何も言えない奴が職場放棄しただけの話でしょう?
おまけに、不正をしても白々しく自分の正当性をごり押ししてくるパートのおばさんなど、僕の嫌いな人種だ。
こんな映画を100万人も観たというフランスの社会全体が現代病に病んでいるのだ強く感じた。
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