皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグのレビュー・感想・評価
全44件中、21~40件目を表示
騎士
イタリア版ダークヒーロー
ゴロツキから英雄へ。異色すぎるダークヒーローの誕生!!
【賛否両論チェック】
賛:能力を得た主人公が、私欲のために使っていた力を、次第に他人を守るために使うようになっていく姿が印象的。一見するとやりすぎなアクションも、案外カッコイイ。
否:直接的なラブシーンやグロシーンが結構多いので、苦手な人には向かないか。
ひょんなことから、怪力と強靭な肉体を手に入れた町のゴロツキ・エンツォ。己の私欲のためにその力を使っていた彼が、変わり者のヒロイン・アレッシアに心惹かれていく中で、次第に自らの使命に目覚めていく様子が、時にコミカルに、時に切なく描かれていきます。
後半のアクションは、やりすぎ感が満載とは思いつつも、ついつい見入ってしまいます。
ツッコミどころは多々ありますが、異色なヒーローの活躍を、是非観てみて下さい。
ジンガロの魅力
私的には、なんといってもジンガロですね、この映画! すんごい嫌な感じのやつで、すんごいいけ好かない感じなんですよ、そしてそこが何とも良いっっていうね。彼への嫌悪感の持続で、この映画を観ていた感じがしますね、実際。そしてそれは映画としてはテンションの持続をもたらしていたように思います。
あ、あとナポリのヌンツァ! あの怖そうな女マフィアは良かったなぁ。独特の冷静さが妙に怖いんですよね。
翻って鋼鉄ジーグとヒロインのパートには、そこまでの魅力はなかったかな、と。ヒーローに目覚めていく中年男のプロセスは、心震える感動がありそうだけれども、それを感じさせようという意図はありつつも、そこまでそう感じられなかった、というかね。ここのところは、端的に演出の力の問題なのかなぁ。
あ、でも最後のカットは素敵でした。あれは好き。
最高のスーパーヒーロー映画
前半のクソは後半の見事な伏線
決して良い子には見せることができない、エログロな表現が満載な作品だったけれど、感動してしまった。
永井豪は非常に好きだが、鋼鉄ジーグのオリジナルは全く知らない。実際にジーグもダークヒーローなのかどうか知らないけれど、永井豪作品に数多く存在するダークヒーローは気に入っているわけで、この映画においても、そのダークヒーロー愛を非常に感じるところ。しかも、そのダークっぷりというか汚れっぷりは本家を超越している。その汚れさ加減にうんざりする前半は、はっきり言って退屈極まりない。しかし、その前半の忍耐は、後半、想像を超える歓喜へと昇華された。
決して細部が洗練された話でもないし、唐突なところも少なくない。それでも画面に引きつけられてしまうのは、意図的にビジュアル的な美しさを廃除しようとしていたところにあった。ヒーローもヒロインも決して容姿に長けているわけでもなく、申し訳ないけどヒーローものならば間違いなくすぐにやられてしまいそうな男と女…しかしその醜さが美しく見えてしまった瞬間、思わず涙が溢れてしまった。
悪ふざけな面は大いに感じるけれど、何かしら考えさせられるところもあるわけで、その志は意外と高い作品なのでは?と深読みもできる。
音楽も良かったし、非常に好きな映画だ。
生々しいヒーロー
ひと味違ったヒーロー映画。
マンマミーヤ♪
チンピラなおっさんの奮闘に胸熱!
ドストライクなヒーロー物で思わず泣きました。本当に胸熱!
キック・アスみたいな感じかと思ってたのに思ったより現実味があって、ハリウッドのアメコミ大作映画にはない哀しみがあったと思う。
言ってみればシリアスハードモードなデッドプールがダークナイトの決意でで戦うというか、敵はジョーカーみたいだし、途中から主人公のおっさんがだんだんウルヴァリン@ヒュー・ジャックマンに見えてくるという、ちょい無理筋な既視感バリバリなとこもあるけど、まさに善と悪とは、真のヒーローとは?…な映画だった。ほんと泣けた。
痛いが熱くなるまでまって
永井豪先生の合体ロボットと勧善懲悪の輸出によって生まれた
2015年のイタリア映画だ。しかもイタリアのアカデミー賞に相当する、ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の最多7部門(16部門ノミネート)を受賞したという大ヒット作品である。最近、イタリア映画といえば、昨年(2016年)の作品賞「おとなの事情」(2016)も公開中だが、こちらも素晴らしい。
"鋼鉄ジーグ"とは、日本のアニメ作品タイトル(1975)。本作はその"鋼鉄ジーグ"をモチーフにしたアクション映画になっている。イタリアではアニメが1979年に放送されて人気になり、イタリアにおける知名度は高いそうだ。
"鋼鉄ジーグ"の原作は「デビルマン」、「マジンガーZ」、「キューティー・ハニー」の永井 豪先生。永井先生のロボット漫画シリーズのひとつであるが、TVアニメが原作で、漫画の連載は共作者の安田達矢氏(キャラクター発案)によって作られた。
ちょうど時期的には「ゲッターロボ」、「UFOロボ グレンダイザー」と同じくらい。
また、同時にタカラから発売されたマグネットを使った合体ロボット玩具「マグネモ」も大ヒットし、「ミクロマン」や「トランスフォーマー」へと発展していく。「パシフィック・リム」(2013)も日本のロボットアニメの影響から生まれ、「機動戦士ガンダム」も当初は合体ロボットだったことを考えると、あらゆる"変身ロボット"は永井豪先生の”合体の発明"から始まっているとも言える。結果的に小学生に"合体!"と叫ばせた・・・大人教育である。
さて、本作は"鋼鉄ジーグ"の実写版ではなく、あくまでもモチーフにすぎない。犯罪を繰り返す、街のゴロツキが、とあるキッカケで無敵のパワーを身につけ、恋した娘の助言から正義に目覚めていくというもの。新人監督であるガブリエーレ・マイネッティの日本アニメ好きから生まれている。
チンピラのダメダメストーリーであり、ダメ男のヒーロー設定はアベンジャーズシリーズの「アントマン」(2015)に近いが、テイストがだいぶ違う。ハリウッドのアメコミ映画と比較してみると、その制作費のなさから、しょぼいと感じるかもしれない。しかし実は日本人の大好きな"勧善懲悪"でもあるのだ。更生した主人公設定でいえば、キムタクの「HERO」(2007/2015)もあり、また「タイガーマスク」のごとく、庶民目線のヒーローは、身を挺して正義のために戦う。
それが現代イタリア人の心に訴えるものがあったわけで、日本人として興味と共感を感じる。わかりやすい。
(2017/5/26 /ヒューマントラストシネマ有楽町/シネスコ/字幕:岡本太郎)
なんだかな…
全44件中、21~40件目を表示