「一見、ホグワーツ。論理的な魔法SFが新鮮でした。」劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女 Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
一見、ホグワーツ。論理的な魔法SFが新鮮でした。
原作ライトノベルもテレビアニメ版も未読・未見なので、いささか遠巻きにしていたが、やはり見ないで、価値を結論づけるのは良くないと・・・。
魔法や魔女モノは、ネタそのものが理屈抜きでファンタジックなので、映像化しやすい。「ハリー・ポッター」シリーズ(2001~2011)とそれに続く、「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(2017~)。またマーベルの「ドクター・ストレンジ」(2017)。日本では「魔女の宅急便」(アニメ1989/実写版2014)と、それを乗り越えられるか、ジブリから独立した米林宏昌監督の「メアリと魔女の花」・・・とヒット作が多く、挙げればキリがない。
本作のタイトルは、一見、ハリー・ポッターの"ホグワーツ魔法魔術学校"を想起させる。実際、炎のゴブレットの"三大魔法学校対抗試合"などに影響を受けているのだが、少し違うのは、設定が2095年の近未来パラレルワールドで、SFジュブナイル的になっていること。
SF=つまり魔法が科学的・物理学的に解明され、"魔法師"が職業として認められている。高度な魔法師は国家戦力として、軍に帰属する。国家同士も抑止力として魔法師を抱えている。また優秀な魔法師を育てることは、国策であり、そのエリート高校を舞台にしている。
魔法使いは、昔ばなしや伝説・伝承民話などに拠ることがほとんどで、宗教的な悪魔とも結びついていることがある。しかし本作は、戦争アクションものと論理的な魔法が組み合わさって新しい世界観を構築している。
なかなか見ごたえある。この世界観はまだまだ広げられそう。
この劇場版は、小笠原諸島にある日本の軍事施設内部の暴走と、米国(と見なされる国)の予防的強襲が描かれている。"日本 vs.米国"が描けてしまうのが、いまどきである。良くも悪くも、先の大戦のトラウマはもうない。
キャラデザインは、日本アニメの典型的な"少女顔+巨乳系"で、加えて"制服萌えの要素"もあって、2次元が苦手な人にはきびしいかも。サービスのつもりかもしれないが、入浴シーンなんてガキ向けの性的はけ口にしかすぎず、かわいいもんだ。
(2017/6/23 /ユナイテッドシネマ豊洲/ビスタ)