劇場公開日 2016年12月24日

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「80年代後半に生きたガキどものバカ話。」14の夜 Cディレクターシネオの最新映画レビューさんの映画レビュー(感想・評価)

3.080年代後半に生きたガキどものバカ話。

2017年2月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

単純

大好きな映画「百円の恋」の脚本家、
足立紳さんの監督デビュー作ということで、
期待して名作邦画の聖地テアトル新宿へ。
舞台は1987年の田舎町で、
性への妄想を膨らませる中学生たち。
街に一軒しかないビデオ屋に来る、
AV女優「よくしまる京子」
(多分薬師丸ひろ子と小泉今日子を足した、秀悦な名前!)
のおっぱいを吸わせてもらうために奮闘する、
一夜の青春劇だ。

お話は
「アメリカン・グラフィティ」や
「スタンドバイミー」のような、
オトナへの成長や存在意義やせつない友情など、
青春を定義するメッセージに期待してたけど、
繰りひろげられるのは、
80年代後半に生きたガキどもの「あるある」なお話。
ダメ親父と、エロ本と、ビデオ屋と、覗きと、暴走族....。
どっちかというと、グローイング・アップのようなバカ話だった。
「百円の恋」のような葛藤も、
大林監督「青春デンデケデケデケ」のようなノスタルジーも、
一切なし。(笑)
そこが、かなり残念だったかなぁ。

あと予算の関係かもしれないけど、
1987年のディテールが甘い。
ビデオ屋はよくできてたし、
ちゃりもリトラクタブルライトをよく探してきたけど、
台詞も車も町並みも現代感まるだし。
そこは「イニシエーションラブ」みたいに徹底しないと、
感情が入っていかない。
以外に大事なことだと思った。

主人公のタカシ含め
中学生たちはほぼ新人のようだけど、
演技はかなり頑張っていたなぁ。
この監督が多用する、
長回しカメラパンなシーンの
高いハードルも
しっかりこなしていたし、
難しいラストシーンの表現もよかった。

そして脇役が豪華でさすが。
タカシの父役の光石研さんは、やっぱりうまいなぁ。
姉役の門脇麦さんも、重要なシーンでの存在感がすごい。
濱田マリさんと稲川実代子さんも、渋い演技。
何もないストーリーも、救われた。

自分が中3のとき、
同級生がオンナとやって、
僕たちはそいつがめちゃオトナに見えたし、
自分たちは子供だと葛藤した。
リアルに生きててもそんなことがあるんだから、
映画はもっと語って欲しい。

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