若葉のころのレビュー・感想・評価
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ホワイト・デー
職場の、
台湾人のおばちゃんにこのDVDをプレゼントした。
ビージーズのCDとキャンディも付けて。
『いつもお世話になってます。はいこれ。台湾の言葉、懐かしいと思いますよー』。
以来、彼女の僕を見る目が変わってしまった・・・
プレゼントとしてはちょいヘビーだったかな(笑)
でも、爽やかだよね。
アジア映画って、少し前の時代が僕らを追いかけてやって来るのでノスタルジー感が半端ない。
王道青春モノにはスローモーション多用で
・過去と現在で甘酸っぺえ~
・ピアノの旋律、なにかにつけて水浴び、屋上からレコード投げ、憧れの女教師のSEX目撃、突風の吹く校庭、すれ違いの手紙、若葉が茂る木々、学生らしい男女の距離感
・本当にビージーズの若葉のころのレコードがキーなのね
・昔は男子の方からちょっかいをかけたりしてるが、現在だと女子から胸をさわらせたりキス迫ったりと逆転の対比
・能年ちゃん似の娘の「返事まってるね」が可愛すぎる
・思い出は美化されるね~
やりたかったことは良く分かる
懐かしい音楽を耳にすれば、キラキラと輝いていたあの頃に戻ることができる。たとえ、現在それなりに職や家族に恵まれていたとしても、ひと時、在りし日の感情を思い出し、甘い感傷に浸ることへの誘惑から逃れることは、誰にとっても難しい。
このような郷愁が描きたかったことは強く伝わってきた。しかし、結論を言うと、若い日々の描写は成功しているのに、年老いた現在の描き方に違和感を覚える。この違和感はどこから来るのか。
ワイン片手に、高級オーディオの音に耳を傾ける二人の男。
いつかどこかで観た香港映画にもこんなシーンがあった気がする。敵同士だと互いに気付くことなく、男二人がレコードの音楽に共に耳を傾けている。そのシーンには秘められた哀愁とサスペンスが溢れていた。
こちらはどうであろうか。同じ悪友とバーで喧嘩をするシークエンスを含めて、そこには大人になり切れない中年男が描かれている。分別のある大人の男が郷愁に浸るのではなく、幼い日々から抜け出せずにいまだにわんぱく坊主の自分に酔っているのだ。
このように未成熟な男と、人生の酸いも甘いも経験して愛娘を育て上げようとしている大人の女性との間に、このあとどのようなロマンスが控えているというのか。娘の淡い期待通りに、この二人がいま再びの恋に落ちるとは考えられない。
自分が甦らせたはずの昔日の恋が色褪せていくのを、娘は自分の目で見届けることになる。彼女の思春期が終わりを告げるその瞬間まで描いてこそ、親子二代の恋物語が完結するのではなかろうか。
懐古的なようで今を生き、また狡猾なようであざとくない、個性は強くな...
懐古的なようで今を生き、また狡猾なようであざとくない、個性は強くないがそんなキャラクター達は、私たちが忘れてしまったような感覚を喚起させてくれる。
エンディングに流れるエヴァーグリーンな映像は本作の主題をと五月一號(First Of May)というタイトルを簡潔に表しており、印象的だ。
日頃 疑問の尽きない洋楽曲の邦題のネーミングセンスも、ビージーズのこの曲にあっては思わず膝を叩いてしまう。
ひとことReview
コレ、批評家の評価では「年間ワースト」に出るほど酷かったらしい。だけど私に言わせれば、色の使い方、撮り方、スロー・モーションは見事だった。台湾映画はコレがあるから強いんだな。
にしても主演のルゥルゥ・チェンが実に魅力的だなー。
おっさんには毒
♫Who is the girl with the crying face looking at millions of signs?
(Melody Fair by Bee Gees )
1971年公開のイギリス映画『小さな恋のメロディ』の挿入歌『若葉のころ』をモチーフに、青春時代に置き忘れた、叶わなかった切ない初恋の残像を追いかけるノスタルジックな映画。
ヒロインの少女は事故で意識を無くし植物状態となった母のパソコンに1通の未送信e-mailを見つける。「お元気ですか? まだ私を覚えていますか?」それは母が自分と同じ17歳の時の初恋の相手に送ろうとした(多分送るつもりはなかったのだろう)e-mailだった。自分の今の恋にだぶらせ母に代わって「会いたい」とメッセを送る。
1982年の母の17歳の初恋と2013年の17歳のヒロイン少女の初恋が交錯し同じ道を歩んできた青春の疼きを、ビージーズの「若葉のころ」のメロディーに乗せて織り上げて行く。
ヒロインの母親役、ワン・レイを演じるアリッサ・チアが本当にきれい。彼女は英国の男性雑誌「FHN」で「アジアで最もセクシーな女優」に選ばれてもいる。ヒロイン役のワン・バイと17歳の時のワン・レイを同時に演じるルゥルゥ・チェンが悩殺されるくらいに可愛い。すました時のちょっと不満げな口元とおかっぱ頭で下から見上げる意地悪っぽい目つきは、フランス映画『アメリ』の時のオドレ・トゥトゥを連想した。
映像が美しい。全体にパステルかかったような柔らかい光が画面全体を覆い、特に雨の表情を巧みに取り上げられている。リッチー・レンが演じるワン・レイの初恋相手役、リン・クーミンがザーザー降り続くバスケットコートで大の字になって思いを馳せているシーン。夕立のあとの校庭の水たまり。また、レコード盤、台湾の少女らしく現代ヒロインの部屋にはドラえもんグッズ、日本のファッション雑誌nonnoのポスター、1980代のレトロな学生服・・・。小さなディーティールを気持ちよく積み重ねている。
まぁ、どうでもええけど30年前の、きれいな思い出と共に散った初恋の相手から、突然メールが届いたらって想像するだけで・・・心が穢れたおっさんたちは出てきたお腹の贅肉と、残り少なくなった頭髪と、血糖値や中性脂肪の検査結果を「見なかった」事にして、何とも言えない郷愁と、ちょっとの期待が頭を駆け巡るのである。
焼酎飲もう
男優二人がワイン飲むところが似合ってないの。あとバーで喧嘩するところも。
「これは西洋人がやるから似合うんだ」と思ったね。安い居酒屋で焼酎飲んでる方がはまったんじゃないかな。
ストーリーは高校生のときのすれ違いなんだよね。それを年取ってから振り返って、しかしそれでどうするのさ。
思い出はきれいなまま置いとくのがいいんじゃないと思ったね。
初夏にふさわしい良作
映画を心で観る人と、映画を頭で観る人によって、評価が分かれる作品かもしれない。母と娘、二つの時代の初恋を導き出す動機付けが、多少強引かもしれないが、心を同化させて美しい映像に身を委ねていると、いつの間にか映画を超えた自分の青春時代が折り重なるように甦る。ルゥルゥ・チェンという新しいスターが演じる母娘2世代の“17歳”が瑞々しく、ジョニー・トーの秘蔵っ子リッチー・レンの枯れた中年男も味わい深い。そしてこれが長編映画デビュー作となるジョウ・グータイ監督の若い汗が香り立つような映像美は、ただスタイリッシュなだけではなく、愛に満ちたエモーショナルな熱量が観る者の心を温かく包み込む。小品ではあるが、この美しさはスクリーンの大画面でぜひ観ていただきたい。
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