「疑心暗鬼の魔女」ウィッチ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
疑心暗鬼の魔女
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よくある低予算ホラーかと思ったら、ジワジワ口コミヒット、批評面でも絶賛。
アメリカ公開時から気になってた一本。
魔女伝説、信仰心など容易く理解出来る題材ではないが、高い完成度に唸らされ、衝撃の展開に戦慄させられた。
終始漂う不穏なムード。
ダークな映像美、人里離れた森の中のロケーションが殊更素晴らしい。
この異様な作品世界に一気に引き込む。
赤子の謎の失踪から始まる、一家を襲う奇怪な現象。
何かしらの事件性で説明付くとタカをくくっていた。
自分の常識や想像力は覆され、通用しない。
ラストシーンなど現実か否か。一体自分は何を見せられているのか。
ラスト近くの“ある者”の登場は『哭声 コクソン』と通じるものを感じた。
不気味な音楽。
長男が森の中で出会った美しくも妖しい女。
時折挿入される意味深なシーン。
主を称えながら発狂しながら息絶える長男。
神経を逆撫でさせる二女と二男。
ヒステリックな母親。
強い信仰心がかえって横暴である父親。
不穏さ、不条理さが幾重にも交錯し、もはや恐ろしい。
最も恐ろしいのは、心の闇。
魔女と疑われた長女。
家族である筈なのに、娘の言う事を信用出来ず、一度疑ったらその疑いに囚われる。
疑心暗鬼。苦悩。狂気。転落。崩壊。
魔女は居た。
心の闇の中に。
この恐ろしく残酷な作品の中で唯一、アニヤ・テイラー=ジョイに魅せられる。
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