「細かい犯罪が気になる。」SING シング まきこさんの映画レビュー(感想・評価)
細かい犯罪が気になる。
amazon prime特典にて視聴。
○あらすじ
劇場経営をするも、うまくいっていないコアラ。
逆転を狙い、賞金1000ドルの歌コンクールを実施しようとするが・・・?!
○感想
キャラクターが立っており、それぞれにストーリーがあった。
そのストーリーがうまく描かれていて、流行りの音楽にのせて飽きることなく最後まで楽しめた。
主要なキャラクターは次の6匹。
ブタちゃん:人妻。子だくさん。セックスレス(妄想)。
はりねずみ:10代女。男に浮気される。
ゴリラ:犯罪集団の若造。犯罪父に勘当される。
コアラ:劇場のオーナー。火の車。劇場を失う。電気泥棒。水泥棒。
象:引っ込み思案で人前で歌えない。うたうま。
ねずみ:エリート気取り。イカサマがバレ、クマに追われる。
分かりやすいサクセスストーリー。
問題を抱える主要キャラクターが歌とダンスを通してその問題を解決していく。
ただ、その問題と解決の仕方にちょっと不満が残った。
それぞれのキャラクターについて感想を述べる。
・ブタちゃん
かわいい。好き。
初めて「人妻もいいなあ」と思った。
頑張って子育てしているのに、夫は顔も見てくれない。
最後は、素晴らしいパフォーマンスを見せ、夫と熱烈なキスを交わす。
いや、無条件には愛されないのね。
素敵なダンスをして、歌上手だったから、夫が見直した。
もし、ダンスがうまくなかったら?歌がへぼかったら?
普段から子育て頑張って、夫も子どもも愛しているのに。
なんで普段から無条件に愛情表現されないのか。
結婚ってそんなもんなんですか?
・はりねずみ
初めはカップルデュオだった。
自分勝手な男がオーディションに落ち、女の方だけが残る。
男は嫉妬し、女は「2人のため」と思い歌いたくもない歌を歌う。
女が頑張っている裏で、男は浮気する。
その失恋をばねに、作詞・作曲の才能が開花する。
まじで可哀相。ただただ可哀相。
たしかに、デュオの時には発揮されなかった才能が開花し、素晴らしい歌を披露する。
しかし、それだけ。
他のキャラクターがダンスと歌を通して、何かしらの成功を成し遂げるのに対し、
はりねずみだけはダンスと歌で成功する。
トンデモ男と別れられたことが成功???
新しい恋なり、人生の目標を見つけるなり、何かしらの救いがあっても良かった気がする。
・ゴリラ
父ゴリラとともに犯罪集団。強盗。
歌手になりたいゴリラ。
歌の練習をしていたため、渋滞にまきこまれ、逃走車を回せず父が逮捕されてしまう。
「歌手になりたいんだ」
刑務所で聞いた父は激怒。勘当される。
「お前なんか息子じゃない」
後に、ゴリラが歌う姿がTVに映されると、感動する父ゴリラ。
「俺の息子だ」
刑務所を飛び出し、ゴリラを抱きしめに行く。
そもそも、息子を犯罪に巻き込むな!!
刑務所からの逃走が美談のように描かれているのも気になった。
冤罪というわけでもなく、「仕方ない理由があった」というような描写もなく、普通に強盗。
どう考えても正当化できない。
・コアラ
父が働いて貯めたお金で買ってもらった劇場を経営。
なかなかうまくいかない。
再起をかけた歌コンクールの練習中に劇場崩壊。
銀行に差し押さえられる。
コンクール出場予定者と跡地で野外コンサート(銀行無許可)
強引にコンサートを成功させ、スポンサーを得て、新しい劇場を手に入れる。
歌やダンスを見る目はあり、観客を楽しませようという志もある。
しかし、単純に能力が低く、「これじゃつぶれるのも無理ないな」って感じ。
気持ちと運だけで成功する嫌いなタイプの主人公。
・象
引っ込み思案な女の子。
歌唱力はすごい。
歌手になりたいが、自信はない。
家族の後押しでコンクールに参加。
実力を発揮できず、裏方として働くも、降板者続出を理由に登板。
コアラを始め他の参加者とのやり取りを通して、人前で歌えるようになる。
こういう典型的な歌のサクセスストーリーがあると良いね。
非常に見やすいし、物語にも筋がみえる。
ストーリーとしては目新しくないが、だからこそ、安定していて良い。
もう少しかわいくてもいいとも思ったが、引っ込み思案をキャラクターにするとこんな感じか。
・ねずみ
嫌い。
トムとジェリーのジェリーもそうだけど、なんかねずみって好きになれないんだよな。
お高くとまったねずみで、自分の音楽に絶大な自信をもっている。
その分、他を見下している。
女ねずみをひっかけるために、クレジットカード会社に嘘をつき、そのクレジットカードで車を購入。
女ねずみをうまくひっかける。
(それで引っかかる女ねずみもどうなんだ、って感じ。)
調子に乗って、クマ相手のポーカーでイカサマ。
バレて付け狙われる。
最後は、捕まるも、女ねずみに助けられ生還。
こいつがいなければ、コアラの劇場はつぶれなかった。
こいつを追ってきたクマのせいで、水槽が割れ、水があふれ、劇場が崩壊する。
その分、ストーリーを作る役回りにはなっており、
劇場の崩壊、象のオーディション不合格はこいつのおかげで生まれているシーン。
以上、ちょっと気になるサクセスストーリー。
もう少し重厚感があっても良かった。細かい犯罪も気になる。
しかし、限られた時間の中で、これだけのストーリーを盛り込み、うまくまとめているのは素晴らしい。
ストーリーのもったいなさと細かい犯罪で☆1つ減点で
☆4評価としたい。