ズーランダー NO.2のレビュー・感想・評価
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寂しい気持ちにさせないで!!
『ズーランダー』好きだったなあ。『スタハチ』も『ドッチボール』も好きだ。何の得にもならない映画で、ホント好きだ。『ズーランダーNO.2』、今年一番楽しみにしてたのになあ(笑)。
なんだろ、観ててすんごく寂しい気持ちになった。
少しイヤな予感はしてた。ベン・スティラー絡みの近作『ビッグ・ボーイズ』『LIFE!』が、自分探しというか自己啓発系で、それはそれで有りだけど、『ズーランダーNO.2』ではそっち系には流れないよね、ちゃんとバカに戻るよねと思ってたんだけど。
本作も、なんか中途半端に自分探しの父子の成長物語みたくなっており…。
もともとの『ズーランダー』も、自分探し的なストーリーではあったんだが、そんなどーでもいいことは吹き飛ばす「バカの輝き」があったのになあ。
本作、カンバーバッチ他、多彩なゲストも心底頑張っているのだが、出オチでしかなく。前作もかなりな「出オチ映画」だけども、それを感じさせない勢いがあったのになあ。勢いだけともいえるが。その勢いを無くしてどうする?
ベン・スティラーの変な身体の動きが好きだったけど、今回は動き少なめで老けたのかなあとも感じる。その代わり顔芸…トム・クルーズ・パロディは頑張っているのだが。顔芸多用でアップのシーンが多いから映画全体が停滞しちゃってる。キメ顔は、ここぞという時に温存して欲しかった。
ファッション業界との関わりも、もはや予定調和でしかなく新鮮さのカケラもない。
「新鮮じゃないこと」「ずれていること」を笑いにしようとしてるんだけど、それ自体がズレちゃってる。
やっていることは前作とあんまり変わらないんだけど、愛すべきマンネリズムなんだけど。それが「笑」につながらない。「ズーランダー続けてくれてありがとね」という気持ちにはなるけれど。
作ってる側だけではく、観ているこっち側も歳を経て、オレンジモカフラペチーノ!!!とはしゃぐ体力・無邪気さを失いつつあることも痛感(これが前作時との一番大きな差のような気もする)。
ああ、時って流れていくものなのね、「バカの輝き」って儚いものなのね…と寂しくなる。
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寂しいと言えば…。エンド・クレジットで「Drake Satherに捧ぐ」と出る。Drake Sather、ズーランダーの生みの親(原案・脚本)だけども2004年自死。「化粧の下に涙かくす道化かな」そんな言葉も浮かんでくる。オーウェン・ウィルソンは未遂で良かったなあとも思う。
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デレク・ズーランダーというキャラクターが生まれてから20年。いろんなことがあった。
本作の中で、いまだにガラケーでスマホが使えないズーランダーという場面があったが。
1996年の『Derek Zoolander:Male Model』では、ポケベル使ってたんだよな。そういえば。
ポケベル→ガラケー→スマホと世は流れても。賞味期限が短いコメディ界の中で20年生き延びたズーランダーというキャラクターは、やはり天晴れというしかない。敬意を表して星5つ。
コメディ映画なのに、妙にしんみりした感想ですみません。こういう映画は「面白かったねえ」と流せばいいだけなのに、こんな長々感想書くのもどうかしてる。
世代的に思い入れが強すぎて「寂しいな」という感想になっちゃったけど、ズーランダーに思い入れがない例えば10代くらいの人たちが観て「面白かったよ!笑えたよ!」と言ってくれて新たなファンになってくれたら、それはそれで凄く嬉しいなあとも思う。それにしても、映画comさんのチェックインが現在70人ってのも寂しすぎるだろとも思う。
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追記1:
ベン・スティラー&オーウェン・ウィルソン、自分探し系の佳作(『アンソニーのハッピー・モーテル』『ダージリン急行』『アメリカの災難』、最近では『ヤング・アダルト・ニューヨーク』などなど)が多い。80歳くらいになっても探しつづけてるんじゃなかろうか。それはそれで良しとも思う。
追記2:
一方、探し系には出ないウィル・フェレル、素敵だ。一緒に仕事してきたアダム・マッケイ、ジェイ・ローチらがマジメ系、アカデミー賞系にシフトしてもそっちには出ない(出れない)のも素敵だ。本作でも、ウィル・フェレルとカバとマーク・ジェイコブスが凄くバカっぽくて良かった。
追記3:
本作とは関係ないが…。
カンヌで酷評されたニコラス・ウィンディング・レフンの新作『The Neon Demon』(ファッションモデルの話らしい)。「アベル・フェラーラ風味のズーランダー」と評されてて、何だかとっても面白そう。すんごく楽しみ。
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