「ジェイソンボーン meets アラン・クラーク」ジェイソン・ボーン 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
ジェイソンボーン meets アラン・クラーク
個人的な話でどーでもいいことですが、私、映画観る時、カット数を数えてるんです(音の出ないカウンターを持ってる)。普段観てるようなミニシアター系だと、だいたい一作品350〜500カットくらいで納まります。
で、今回、カット割りが多い事で知られるポール・グリーングラス監督に挑戦してみたわけですが。カット数が2200越えたあたりで、カウンターが壊れました。最終的には4000カット位いってるんじゃないでしょうか。
っていうか、カットが細分化されすぎてて、目で追えない。動作をどこまで分解できるか、どこまで細かく羅列できるかの挑戦のような映画だなあと思いました。
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グリーングラス監督は、アラン・クラークの作品群に影響を受けたと何かで読みました。
アラン・クラーク(代表作『Elephant』『Made in Britain』など。主に1980年代に活躍したイギリスのディレクター)。
センチメントな説明を排し、徹底して登場人物の動作を撮った人。
動作の中に、全てが表現されている…人の暴力性も慈愛も全て。そんな作風の人だと思います。
グリーングラスのジェイソンボーンシリーズは、アラン・クラークの方法論をさらに突き詰めた映画ではないかと、感じました。
細かく割られたカットは、ただひたすら登場人物の動きを追います。撃つ、殴る、走る、見る。目も眩むような動作の羅列。
セリフやストーリーで何かを結論づけるのではなく、ただひたすら「動き」を積み重ねていく。
そこにはセンチメントも、坐りの良い大円団もありません。ブロックバスターの人気シリーズでありながら、それとは対極のものを目指した映画のようにも思えます。