劇場公開日 2016年11月19日

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「将棋の駒を打つ音が、村山棋士の鼓動のようで。」聖の青春 yookieさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5将棋の駒を打つ音が、村山棋士の鼓動のようで。

2017年1月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2017年の幕開けに、何の映画を観ようかと考えていて、昨年から俄に評判になっていた聖の青春を選びました。よい選択だったと思う。将棋の知識も無いし、村山聖棋士の事も知らなかったけど、穏やかに胸に迫る良作でした。”ソウルメイト”と呼ぶに相応しい村山棋士と羽生善治棋士の繋がり、師匠と弟子達の関係、親子の絆…短命で偏屈な天才をとりまく人間関係が温かくもあり切なくもあり、くすっと笑える。日本のロバート・デニーロばりに20kgも体重を増量して挑んだ松山ケンイチさんも凄いけど、東出昌大さんはまるで羽生棋士が憑依しているかのような本当に凄い演技でした。他の俳優陣も素晴らしかったと思います。対局の時間の経過を街の景色の移ろいで表現したり、空を駆ける二羽の白鳥が両棋士の闘える喜びを現すような演出も良かった。蛇口から滴る水のように一日一日を絞り出すよう生きてる主人公が、震える手で将棋の駒を打つ音…その音が村山棋士の鼓動のように聞こえ、盤面を打つ度に観客の心も打っていたように感じました。
お勧めです。

yookie