「羽生との最期の対局が全て」聖の青春 kousukuさんの映画レビュー(感想・評価)
羽生との最期の対局が全て
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膀胱癌の手術を終え迎えた羽生戦。命を賭けた戦いになる筈だが、すでに対局を行うというところで命を張っている聖にとっては、勝敗を超えた境地に入っていく。対戦するものにとってそれ程怖いものはない。羽生は勝ちはしたものの勝った気がしない筈。
将棋に対して何処まで命を賭けているかの勝負では聖が圧勝している。
聖の落手で羽生が勝つという結末は、取りようによっては非常にドラマティックなもの。
聖が格下の者でも分かる落手をしてしまう心境とは?緊張、気の緩み、?
あの場面の羽生は明らかに聖に怯えている。
私は、あの落手が聖が勝敗を超えた境地に入っている証であり、羽生と酒を交わしたあの晩の「2人しか到達出来ない深い海の世界」だったのだと思う。「もう帰って来ることの出来ないところ」。聖がその境地に達していることが分かるのは羽生だけ。自分が怖くて踏み入れない深いところに聖が行ってしまった。だが勝たないといけない。そういう風に描かれていたように思えます。
羽生との最期の対局にこの作品の全てが集結しています。感動のドラマでした。
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