「濃厚な人生と淡白な寿命。」聖の青春 ガーコさんの映画レビュー(感想・評価)
濃厚な人生と淡白な寿命。
人生を将棋に捧げた男の物語。
打倒羽生を目標に、大阪から東京へ上京する村山聖。
彼の目には、『羽生』という二文字しか見えていません!
体に癌という爆弾を抱えながらも、それを隠しながら将棋を指し続ける姿。
それは、何かに取り憑かれたかのようです…。
癌の手術の為の麻酔でさえ脳が鈍るからという理由で断った彼。
その類い稀な精神力は、どこから湧いてくるのでしょう。
自らの命を削り戦い続ける彼の姿は、人知を超えた狂人です!
その類い稀な才能は、幼い頃から発揮されていました。
幼い頃にネフローゼという病気で入院していた彼は、入院中に出会った将棋との出会いによって人生を大きく変えます。
しかしそれは同時に、彼の寿命の短さを物語ることでもありました。
神様は時に残酷なことをするもの…。
命と引き換えに出会った将棋が、29歳になった時、再び彼の命を削ろうと迫ります。
神様がもしいるのなら、神様なんていらない。
自分の願いは自分でつかみとりたいと願い、短い生涯を必死に戦い抜いた、彼の生き様に感動しました。
脇を固めるキャストの方々の素晴らしさと、主役の松山ケンイチさんの貫禄ある演技。
全てが彼らによって、『村山聖』という人物を蘇らせているように感じます!
清々しさのかけらもない、貪欲に身を粉にして生き抜いた『怪童』の世界を存分に堪能できる作品です!
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