劇場公開日 2016年5月14日

「違う文化?」LISTEN リッスン 鴫さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5違う文化?

2016年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

手話の知識のない者です
正直、映画を見終わった時点では何が言いたいのかよくわかりませんでした。
「ろう者の音楽」と謳っているけれど、何故それはダンスとかリズムではいけないのか。映画の中で、聴者と同じ「音楽」を強要されたという話が出てきたけれどそれに対する反発なのか?ぴんとこないまま映画は終わってしまったのですが、映画の後に行われた監督やダンサーの方のトークで自分なりに多少腑に落ちた気持ちがしました。

私はろう者というものを、耳が聞こえないだけのごく普通の人々、と思っていたけれど、ろう者にはろう者の文化というべきものがあって、彼らはその独自性に誇りを持っているということ。日本語が主な地域の中で暮らしていても、手話という言語体系を母語とする違う感覚を持つ集団であるということ。ろう者という言葉も聴者という言葉も知らなかった私にはそれ自体新しい発見でした。

違う文字を使う国や違う宗教、歴史を持つ国の映画を見るときには違和感を文化の違いとして楽しんで見、よくわからなかったらそのこと自体を違いを知るという勉強になったと感じるけれど、この映画は無意識に同じ文化の人の作ったものだから感覚が共有できて当然、それなのによくわからなくてもやもやする、と感じていた気がします。
ダンサーの方が、トーク中で質問に答えて「動きだけではなく間も含めて音楽」だと話されていた、それも私たち聴者の知る音楽でなく彼らの音楽なのだと考えるとなるほどそうなのかと素直に思えます。

そもそもろう者・聴者という言葉すら知らなかった無知なので誤解や読み違いがあったら申し訳ないけれど、少なくとも一つ考えさせられたという意味で私にとっては見た価値のある映画ではありました。

鴫