「チャドウィック・フォーエバー!! MCUらしからぬシリアスなポリティカル・ムービー。悪役はシリーズ随一だが…。」ブラックパンサー たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
チャドウィック・フォーエバー!! MCUらしからぬシリアスなポリティカル・ムービー。悪役はシリーズ随一だが…。
スーパーヒーローが一堂に会するアメコミアクション映画「MCU」シリーズ第18作にして、アフリカ系スーパーヒーロー”ブラックパンサー”の活躍を描いた『ブラックパンサー』シリーズの第1作。
希少な金属「ヴィブラニウム」を産出するため非常に豊かだがそれ故に閉鎖的な国「ワカンダ」を舞台に、ヴィブラニウムを国外に持ち出し闇取引をしている武器商人たちにワカンダ国の国王ティ・チャラ/ブラックパンサーが立ち向かう。
監督/脚本は『フルートベール駅で』『クリード チャンプを継ぐ男』のライアン・クーグラー。
原作/製作総指揮はスタン・リー。
○キャスト
ティ・チャラ/ブラックパンサー…チャドウィック・ボーズマン。
エヴェレット・ロス…マーティン・フリーマン。
バッキー・バーンズ/ウィンター・ソルジャー…セバスチャン・スタン。
新たなキャストとして、ヴィブラニウム闇取引の裏で暗躍する傭兵、エリック・キルモンガーを演じるのは『クロニクル』『クリード チャンプを継ぐ男』のマイケル・B・ジョーダン。
ワカンダの高僧、ズリを演じるのは『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』『メッセージ』の、レジェンド俳優ウォレスト・ウィテカー。
製作はケヴィン・ファイギ。
👑受賞歴👑
第91回 アカデミー賞…美術賞、作曲賞、衣装デザイン賞!✨✨
第44回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…美術賞!
第26回 MTVムービー・アワード…作品賞!
MCU鑑賞も18作目。遂に『ブラックパンサー』にたどり着いた!
実はこの作品を観たくてMCUを掘り始めたんです。
何故なら監督が『フルートベール駅で』(2013)『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)のライアン・クーグラーだから!
過去2作を観て「この人は今後の映画界を引っ張る天才だ!」と思ったので、本作をワクワクしながら鑑賞!!
感想としては、…うん。面白かったよ😶くらいのテンション。
悪い作品ではないっ!欠点らしい欠点がない優等生。
だけど…。
まず良い点。
相変わらず音楽のセンスは抜群。クーグラー作品ではお馴染み、本作でも音楽にはルドウィグ・ゴランソンを起用。最近の映画界におけるこの人の活躍っぷりがヤバい。
映像のセンスも流石の一言。特に冒頭の黒人が住む貧困地区の描写のリアリティが堪らない。
オークランドから物語がスタートするという『フルートベール駅で』のファンならおおっ!と思うところも良い。同時に、オークランドということを明記することで、本作でも黒人の人権問題を扱うことをサラッと匂わせているところが知的でステキ。
アカデミー賞を受賞した衣装デザインは本当に綺麗。
下唇にお盆がはまっている人が着ているグリーンのスーツがおしゃれ。あれを着こなせるアジア人や白人が果たしているのか!?
『GotG』のヒット以降、コミカルで楽しい映画を量産してきたMCU。特に『GotG2』『ホームカミング』『バトルロイヤル』とここ最近はコメディに極振りしていたのだが、本作は過去作品の中でも最もシリアスかつポリティカルな内容。
豊かさを自国だけで享受し、近隣国に対し壁を作ることへの懐疑。そして奴隷として世界中へ売り飛ばされ、その流れの中で未だなお虐げられている多くの黒人達に対する世界の無寛容さへの怒り。また、監督自身のルーツでもあるアフリカ文化へのリスペクト。これらの事がギュッと詰め込まれており、娯楽作品でありながら政治的・人権的な問題を考えることが出来る良い作品だなぁ、と思いました。
歴代最高のヴィランは誰?という質問に対して、本作のキルモンガーを挙げる人も多いのでは?個人的にもキルモンガーがベスト・ヴィランだと思う。完全にブラックパンサーよりも存在感があった!やり方は間違っているけど、この人の言ってることの方が正しいんじゃないの?と思ってしまうカリスマ性がある。
そしてまぁなんと言ってもマイケル・B・ジョーダンがセクシー💕「2020年における最もセクシーな男性」に選ばれたのも納得の肉体美と、知性的な顔立ち。キルモンガーが早逝したチャドウィック・ボーズマンの跡を継いでブラックパンサーになっても誰も文句言わないでしょう。それだけに本作で死んじゃったのが惜しい…。もっと活躍して欲しかった。
いや、いい映画だとは思うんだけど、やっぱり楽しさという点ではちょっとガッカリ。キャラクターも展開も設定も、真面目すぎて面白みに欠ける。
アクションシーンも地味。王を決める部族間の争いはアフリカンな感じで盛り上がるんだけど、結局最終的にはいつも通りのSF的展開になってガッカリ。
クライマックスのタイマンも盛り上がらなかった。チャドウィック・ボーズマンとMBJの肉体美を強調した泥臭いバトルシーンが観たかったなー。
それと、ヴィブラニウムというヤバい金属が沢山あるんだから、それをもっとフィーチャーしたギミックや武器をもっと見たかった。
軽いヒーローが多い中、ティ・チャラのようなキャップ以上に堅物なヒーローというのは特徴的で良いと思うが、単独作品になると個性がなくなってしまう。ちょっとキツイ言い方をすると、物語を引っ張るだけの魅力がブラックパンサーにはないような気がするな〜😥
ヒーロー作品に何を求めるかによるが、自分としてはMCUにはコメディ要素満載の楽しい映画を作って欲しい。本作はちょっと真面目すぎかな。
チャドウィック・ボーズマン・フォーエバー。これからシリーズはどうなるんだろう?🙄