劇場公開日 2016年12月16日

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「納得のギャレス監督」ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー チンプソンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0納得のギャレス監督

2016年12月17日
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鑑賞方法:映画館

興奮

1980年代に公開された初代三部作の一作目にあたるエピソード4と、
2000年代に公開された新三部作のラスト、エピソード3の間の話が、このローグワンという作品。
しかし内容はエピソード3を感じさせないようにしている。スターウォーズ特有の黄色文字で前回までの粗筋を文字で伝えるオープニングが、今回は無い。
更に「エピソード3の続き」ではなく「エピソード4の前日談」としているように、物語の時間的にもエピソード3から離れている。
なので、機械デザインの移り変わりなんかを感じさせるような要素はない。最初からエピソード4準拠仕様である。
監督は2014年版ハリウッドゴジラの人。
ゴジラを足元から見上げるようなカットや、あり得ない視点ではない、人が立ち入れるような場所から巨大なものを見せる手法を多く使い、
結果的にそれが尋常ならざる巨大物体の現実感を強くさせる。それが上手い人物だが、
ゴジラの時も槍玉に上がった脚本の取ってつけた感がある癖が、残念ながら今回も発揮されてしまった。

一番感じたのは無駄な描写が多いというもの。
主人公の女性、ジンの生まれとその経緯を探る中で「こいつ必要だった?」というぐらいのキャラがアッサリと退場する。
しかも後にパイロットととしてジンら反乱同盟軍に貴重な情報を渡す役割の人物が拷問を受けるシーンがあるが、その拷問の必要性にも疑問符がつく。
そしてジンの言葉を信じず最悪のケースを考慮しないで強硬策を取ろうとする反乱同盟軍のお粗末さ。「お前ら会議するタイミング遅すぎんだろ!」とツッコミたくなる。
極めつけは終盤の作戦の無計画さだ。正直帝国が用意周到過ぎて詰み将棋レベルの勝機の無さだが、帝国が手緩いおかげでなんとかなりそうな雰囲気を出して終盤を迎えるという・・・あまり「決死隊」とは思えないレベルで、なんか上手くいく。

一方、無駄ではないが中途半端、あるいはもう一声二声必要だった最たる例は、盲目の戦士ルチアートというキャラクターについてだ。
初登場時はギャグキャラっぽい感じなのだが、怒濤の強さを発揮した以降は、ギャグにもなれずクールにもなれず、最終的には同監督の前作品でもあるゴジラの寒い演出を担わせられて映画が終わるというものになってしまった(山崎貴のような演出と言ったら分かりやすいだろうか)。
終盤はエピソード4の最初を見ればわかる通りバッドエンドに近い形になるのだが、その終わりかたもどこかチープ。
ジンらのラストは某映画の終盤を彷彿とさせるが、某映画より内面描写はお粗末なので・・・ウーン・・・といったところ。

ただ今作は旧作デザインでの艦隊戦を現代の最新技術で描いた初の試みがあり、ギャレス監督の巨大物体の見せ方の上手さもあいまって、終盤の映像的快感はかなりのもの。
特に宇宙から地上を文字通り見下ろすシーンや、宇宙空間から艦隊まるごとワープしてくる様を艦の中から見てるように描くことで、スターウォーズにおける最大の見せ場、宇宙空間での戦闘の魅力を十二分に発揮しており、
シリーズの中でも頭ひとつ飛び抜けた戦闘描写をしている(EP7は艦隊戦がなかったから判断しにくいが)。

・・・故に物語並びにキャラクターが残念だった。
もっとダークな感じでもよかったし、もっとシンプルにしてもよかった。
ハッキリ言って、前半及びに幾人かのキャラクターを排除して上映時間を一時間半ぐらいにすればよかった

チンプソン