「華奢な妹」ユーロトリップ 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
華奢な妹
ミシェルトラクテンバーグの訃報があった。2025年2月26日、39歳だったそうだ。死因のくわしい報道は出ていないが直近で受けた肝臓移植の合併症の可能性がほのめかされている。近影は痩せて元々白かったのが更に白く黄疸も指摘されていた。
バフィとゴシップガールのことを言われる人だがトラクテンバーグといえばユーロトリップだと思う。昔レンタルで見た。レンタル屋ですごい人気作だった。
WikipediaのEuroTripには『ユーロ・トリップは批評家の評価は散々で、興行成績も振るわなかった。しかし、ホームビデオとして発売されると成功を収めた。』と書いてある。ユーロトリップはレンタルになったあとカルト化した希有な映画だった。
ユーロトリップにはギラついたいけめんも肉食女も出てこない。出てくるのは三人の陰キャ男とミシェルトラクテンバーグだけだった。しかもミシェルトラクテンバーグは女として意識されることのない微乳な妹として設定されているのに加え、Hot Dog…The Movieばりに乳出し要員を配したエロコメ仕立てだった。にもかかわらずミシェルトラクテンバーグがぜんぶもっていく。他の女たちが霞むほどに明るく無邪気でノンシャランな「妹」ミシェルトラクテンバーグに魅了される映画だった。
ゴシップガールで共演したブレイクライブリーがインスタのストーリーにつづった弔意が報道されている。ニュース記事にはトラクテンバーグの白さとライブリーの小麦色がよくわかるツーショットが載っていてライブリーはこんなコメントをしていた。
『(中略)彼女はいつもおいしいキャラメルのような香りのリップグロスをつけていました。それは、カメラの前で輝きたいからだけではなく、彼女の周囲にいる人たちに素敵な体験をしてもらいたいという思いからでした。彼女は細かいことにも気を配る人でした。彼女は、本当に親切な人でした』
ソフィアリリス、エママイヤーズ、ベララムジー、ミリーボビー、マッケナグレイス・・・妹値をもった女優さんは時代毎にいるが、トラクテンバーグはそれと違って勝ち気やボーイッシュがごっそり抜け落ちた華奢な妹だった。そばに来たとき「おいしいキャラメルのような香りのリップグロス」がふわっと香る「妹」が亡くなってしまったことにおくやみもうしあげます。