「宝ヶ池駅ホームでの出会いと別れの両義性の映像が実に切ない」ぼくは明日、昨日のきみとデートする Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
宝ヶ池駅ホームでの出会いと別れの両義性の映像が実に切ない
最初の二人の何気ない出会いの映像が、後で深い意味を持つということが分かるという、謎解きの様な凄く映画的な展開に、年甲斐もなく、驚き、関心させられ、感動した!
ソラニン等の三木孝浩監督による2016年12月公開の日本映画。原作は七月隆文による京都本大賞受賞の同名小説。脚本は吉田智子(君の脾臓を食べたいで日本アカデミー賞優秀脚本賞受賞)。撮影は山田康介(シン・ゴジラ等で知られる)、音楽は松谷卓で、製作・配給は東宝。
主演は、福士蒼汰、小松菜奈。他、東出昌大、清原果耶、宮崎美子らが出演。
あくまで、原作未読の感想。
最初、とても映像の綺麗な、若い男の子にとって理想の女の子(白状すれば、若くない自分にとっても、めちゃ仕草等が可愛い)と出会う、夢の様なボーイ・ミート・ガール的甘々ラブストーリーとして見ていたが、彼女の時間逆行が判明し、俄然話が面白くなる。
そう、原作の凄さなのだろうが、今や設定困難な、成就不可能な悲恋のラブストーリーを、見事に見せつけられた。次に彼が会えるのは、15歳の彼女、恋愛は今のこの時、後数日しかないというわけだ。哀しさに絶望する福士蒼汰。でもそれは小松菜奈も同様、いや全てを分かっていた彼女の悲しさはそれ以上であることに気づく彼、そして我々観客。
後半流れる彼女側から見た彼とのデートの幾つかの映像が素敵だ、そして気持ちを揺さぶられる。最初、見た時分からなかった言葉や涙の謎も明らかになり、彼女にグッと共感させられる。挿入される満月や上弦の月の映像も、心にくい演出で上手い。逆光を多用する映像も美しく、抑え気味の音楽も心地よい。
そして、最初出会った日、叡山電鉄宝ヶ池駅ホームでの別れぎわの映像。彼女の涙の意味が明らかになり、また会えるよの言葉の余韻が残る中、彼女にとっての別れの日の映像が、鮮やかに印象づけられる。電車の中で泣き崩れる小松菜奈の見事な名演技。悲しさが視ているこちらに深く伝わってきた。
このシーンと最初の方の反対側からのシーン、どうやって撮ったのか?(一発撮りは難しく、前用と後用の2テイクを時間ずらして行なっている?)も、頭をよぎる。
ラスト、小松が列車に乗り福士を見つけ本を手にし、彼に見染められる映像。そして小松による「彼のもとへたどり着いた」の台詞に、思わず拍手。実にカッコいいラストだ。
監督の三木孝浩さん、そして脚本の吉田智子さんらスタッフの皆さん、新しい胸キュンの美しく切ない映画をありがとう。
零式五十二型さん、コメント有難うございます。
また、レビューを評価していただき、とても光栄です。
私も、他の映画でのキャラクターとの違いの大きさもあり、この映画で小松菜奈さんの大ファンになりました。世界的な女優になれる資質が有り、大きく飛躍していって欲しいとも思っています。
また、レビュー後も再度見て新たな発見が幾つかあったりし、改めて良く作り込まれた映画だなあ!と、再認識もしております。
Kazu Annさん
私の数々のレビューに共感を押していただきありがとうございました。
この作品に「たどり着いた!」ところでお礼申し上げます。
このレビュー素晴らしいです。
そこらに散在する胸キュン映画とレベルが違いますね。
それが三木孝浩監督作品。
思い込みキツすぎで恐縮です😅