「最初で最後のまた明日」ぼくは明日、昨日のきみとデートする 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
最初で最後のまた明日
福士蒼汰と小松菜奈の共演で三木孝浩監督がベストセラー恋愛小説を映画化。
同じく三木監督が松本潤と上野樹里の共演でベストセラー恋愛小説を映画化した好編「陽だまりの彼女」を彷彿。
お美しい二人のカップリング、この手のジャンルに定評ある三木監督作、昨冬同ジャンルの作品が無かったのにも関わらず興行18億円だったのが惜し過ぎる、良質のラブ・ファンタジー。
少々内向的な美大生・高寿は、電車の中で見かけた愛美に一目惚れ。唐突に声を掛けたが、また会う約束をする。
晴れて正式に付き合う事となり、毎日のようにデート、初めての手繋ぎ、お互いの呼び合い、初めての抱擁、キス、初めての夜…全てが信じられないくらい幸せな日々を過ごす。
前半はちょっと照れ臭いくらいの初々しいラブストーリー。
それを盛り上げる主演の二人が嫉妬するくらいお似合い過ぎ。
徐々に洗練されていくが、もっさもっさ髪で眼鏡姿の福士クンに好印象。これまでの女子妄想のイケメン王子様像なんかよりずっと良かった。
本作を見たかった最大の要因は、三木監督作という事もあるが、やはり小松菜奈。
本作での彼女の可愛らしさと言ったら、尋常じゃない!
癒し系じゃなくて結構わがままなんて劇中で言ってたけど、活発で、輝かんばかりの明るい笑顔で「南山くん!」と言ったり、髪を結ぶ仕草、かなり涙脆くて何処か儚げな雰囲気も、何もかもが堪んねェぜ!
「溺れるナイフ」「ディストラクション・ベイビーズ」、日本では今年公開となったがハリウッド・デビュー「沈黙」、そして魅力満載の本作など、本当に昨年は小松菜奈にとって最大の当たり年であった。
三木監督のスタイルと言ってもいい瑞々しく繊細なタッチ、光さえも演出してるような映像美もいつもながら心地よい。
楽しい日々の中、ちょっと気になる事も。
高寿が動物園で描いたキリンの画が学校で貼り出される事を何故か知ってた愛美。
高寿の好物であるビーフシチューにチョコレートが隠し味である事も知っていた。
単なる偶然? 偶然と言えば、お互い5歳の時に誰かに助けられた事がある。
門限は12時。
涙脆い愛美。何気無い付き合いの中でも、その都度その都度涙を流す。まるでそれらが最後かのように。初めて出会った時も。
付き合って半月も経った頃、高寿は愛美の不可解なメモ帳を見てしまい、衝撃の秘密を明かされる…。
メインタイトルが出るタイミングが絶妙だ。
この不思議なタイトルから何となく察しは付くが、それでもなかなか捻った展開。
よくよく把握しておかないと、頭がこんがらがる。
ネタバレチェックして核心に触れてもいいが、やはりここは敢えて伏せで。(一応ネタバレチェックは付けたけど)
衝撃の秘密。思い出を共有する事も出来ず、二十歳の今を一緒に居られるのも僅か30日…。
苦悩する高寿。
でも、本当に辛いのはどっちだろう。
絶対に結ばれない未来か。
全てを知っていて、全てが最後になる事か。
30日が経ち、終盤は愛美の視点から。
ラストシーン…つまり、ファーストシーン。
愛美がどんな想いで電車の中で高寿を見つめていたか。
すぐもう一度見返したくなり、二人の僅かの…いや、欠けがえのない30日が愛おしくなる。
この作品は本当に切なすぎますよね(T_T) 初めて映画館に観に行ったときに近くの席の女性が全然悲しくない場面で泣いていたので不思議だったんです。ところが映画を観たあとに気づきました その女性は2回目以上の観覧なんだなと。私も1度観たあとにすぐに観に行きたくなって観に行ったら2回目はなんでもない場面でも自然に涙が溢れてしまいますね(。´Д⊂)特にタイトルがちょうど出る場面ではその日以降はもうキスができなくなってしまうから愛美ちゃんからキスしてしまったのだと。あー切ない切ない(T_T)恋人の関係からだんだん他人になるのを演じなければいけないのはつらいですよね。たくさん好きな場面あるけどたこ焼屋さんで熱いたこ焼を食べて足をバタバタさせる場面が変わってなかった所が可愛らしかったです(*^^*)エンディングの曲のハッピーエンドの曲も作品に合っていて、その曲を聴いただけでも涙ぐんでしまうような日々が観たあとも続いてました。 この作品を観ると普通に時間を過ごせていること、周りの人達と同じ時間を過ごせることだけでも幸せに感じてしまいますね(*^^*)