「まぁ題材的にそうなるよなって作品」JUKAI 樹海 白石黒井さんの映画レビュー(感想・評価)
まぁ題材的にそうなるよなって作品
予告編から少しチープかな?という雰囲気が感じ取れたが、鑑賞してみた結果は意外とホラー映画としてはしっかり作られていたなという印象。ただ樹海を題材にしているから場面が変わり映えしないものになってしまっていたのが勿体無いなと思う。
同じ様な環境に居続けるというシュチュエーションなら洋画ホラーの金字塔『ディセント』が思い浮かんだ。あちらは洞窟の中で彷徨うという展開。
ディセントの方はというと仲間の骨折の処置だったり、洞窟の暗闇に潜む存在だったり、次に襲いかかってくる恐怖をワクワクとした気持ちで見れたが、樹海ではその楽しさがない・・・
多分それは展開が読めるからかなと思った。これはホラー映画を沢山見ている人だとメタ読みが出来るとかではなく普通に映画の登場人物達が先の展開を言ってしまっているから・・・例えば
・パソコンで樹海を調べていたら死体の画像が出てくる→実際に死体を発見するが、初見じゃないからあんま驚けない
・「幽霊が襲いかかってくるの」→樹海で幽霊が追って来る
・「樹海を彷徨うと幻覚を見るから気をつけて」→実際に幻覚を見る
いや先の展開を見せたり言ったりしすぎだろ・・・と心の中で突っ込んでしまった。これらの要因もあったが、なんて言うか緊張感、緊迫感がすっと全編通して感じられなかったのが一番駄目な要因かなと思う。
観てる側だといやでも所詮は幻覚だし、幽霊だしで片付けちゃえるので何か怖さを感じ辛かったなーという印象。樹海をテーマに映画を作るならこうだろうなという予想の域を全く出ない映画だった・・・
自分が樹海でホラー映画を作れと言われたらどうするか。うーん・・・・主人公は自殺をしようと樹海を訪れるが、樹海を信仰する宗教の一派に捕まってとか、実は樹海には恐ろしい怪物が封印されていてとか・・・やっぱり樹海は只の背景の舞台装置になってしまう展開しか思い浮かばない。言えば只の森だし。
そう考えたら突飛な展開をせずにちゃんと樹海をテーマにして最後まで撮ったこの映画は、筋が通ってはいるなー・・・。まぁでも構想の時点からこの映画は予算かけずに作っていこうとか話し合われてそうだなと感じたけど。